第7話 だから負けられない!

 500年前。シアネスタ・クラウンの魔法によって生まれた巨大なクレーターに深い穴が穿たれ、大量の土煙が空に上っていく。シャドウはその光景を自らの技が生み出した穴の真上に浮かびながら見ていた。魔力を使い果たした分身銃エデンと、その分身銃エデンが生み出したコピー体が消えていく。彼は敵に自分の持てる最大の技をくらわせたのに、勝利を喜ぶどころか、完全な無表情だった。なぜなら、


「困りましたね」


 不意に言葉を発する。見渡す限り誰もいない無人。だが、シャドウには感じ取れる。心臓の鼓動の如く、確かなリズムを刻む魔力の鼓動を。


 ゴゴゴゴゴと地面が揺れ始める。その振動は徐々に強くなり、空にまで伝わるようになる。


「どうすればあなたの心を折れるのか全く分かりません」


 穴の横の土が崩れ、下に積もった土の山から水色の光が漏れ出る。そして土の山が吹き飛び、中から氷花が姿を現す。


 解放リリース・オンが解除され、魔力量が著しく減っているがこれまでの戦いで生じた傷が治っていた。


「どうやって生き延びたのか聞いてもよろしいですか?」

「別に。ただ自動回復オートヒール回復ヒールを最大出力で発動させ続けただけ。あと少しあの技が長かったら回復が追いつかなくなって死んでたけど」

「相変わらずあなたは人ができないことを平気でやりますね。攻撃を絶えず浴びながら回復をする。それがどういうになるかあなたは知っていたんですか」

「まあね。想像してたより結構痛かった」


 幻影竜巻ファントムサイクロン銃撃シューティングは絶え間ない銃撃を浴びせ、相手を脱出不可能にして、相手を仕留める技だ。その銃撃の嵐の中で傷を負いながら回復を発動させ続けるとどうなるか。終わらない無限の苦しみだ。何せ回復した瞬間にまた体を貫かれるのだ。死ぬことも逃げることも出来ない。それを地獄の苦しみと言わず何と言うだろう。


「どうして諦めなかったんですか」


 氷花がそんな選択をした理由がシャドウには理解できず思わず聞いてしまう。


「それ程の苦しみを味わいながら、勝ち目なんか無いと知っているのにどうして戦うことを選んだんですか?」


 すると氷花は独り言のようにゆっくりと言葉を発する。


「私ね。シアに生きていてほしいって言われたの。私と一緒にいる時間が幸せなんだって。私がいなきゃ生きている意味なんてないって。………その言葉を聞いてね、すっごく嬉しかったの。私は昔がした事でシアと関わる資格なんて無いって思ってたから。だってそうでしょ。私は彼女と彼女の父親を死なせてるんだよ。」


 彼女から笑顔を向ける度に氷花の罪悪感は膨れ上がっていき、心を苛み続けた。けど、逃げる事は出来なかった。もし逃げてしまえば友との約束を破る事になる。


「でも、シアはそんな私の事を好きって言ってくれた。正直、好きって感情が私には分からない。前世も今も恋愛なんてした事がなかったから。いや、人に興味を持った事が無かったからかな。……………私がシアにどんな感情を抱いてるか自分でも分からない」


 シアが大切な存在であることに変わりはない。けどそれが恋愛感情かと言われると分からない。


「君の技を受けて死ぬ寸前になった時に、無性にシアに会いたくなったの。もう一度、シアの声を聞きたい、もう一度キスしたいって思った」


 あの時のキスの感触が思い出され、こんな状況なのに顔が僅かに赤くなる。それ程までにシアとのキスは強烈で心地良いものだった。


 手を握りしめ、真剣な顔になる。


「だから私は死ねない!もうシアに悲しい思いはさせたくないから!私は何があっても生きる!」


 前世では自分のためにしか力を振わなかった。けど今は誰かのために戦おうとしている。その事が嬉しく感じられた。


「それにシャドウ、君は一つ勘違いをしているよ」

「何をですか?」


 訝しげな顔になり氷花を見る。


「君はさっき、私が勝ち目なんか無いと思ってるって言ったよね」

「それのどこが間違いなんですか?」

「簡単な事だよ。私は勝てないなんてこれっぽっちも思ってない。君を絶対に倒せるって確信してる!…………………ハアアアアアア!!!!!!」


 叫び声と同時に氷花の魔力が急激に上昇していく。全身から水色の魔力が噴き出す。その様にシャドウが、驚きのあまり少し身を引いてしまう。


「な?!まだこんな魔力が。いや、枯渇寸前だった魔力が急激に増えている?!」

「ハアアアアアアアアアアア!!!解放リリース・オン!!!」


 全身の水色の魔力が黒い魔力に塗り替わっていく。そうして、完全に解放リリース・オンが完了する。あの枯渇寸前の魔力から発動させたのにも関わらず、今の氷花の魔力はシャドウでさえも戦慄するほどの量だった。


 氷花がシュバルティネオを右手に召喚し握り締める。そして、自信満々な声で眼前の敵を挑発する。


「かかってきなよ、シャドウ。もう私は君に負けない!!!」


 その言葉を聞いてシャドウの心に生まれた感情は怒りでも驚きでもない。それは今まで感じた事がない程の喜びだった。気付けば両腕を広げ、笑っていた


「ク、ハハハハハハハ!!!いいですね!久しぶりに心の底から楽しめる戦いができそうです!!!」


 紫の魔力が噴き出し、回復ヒールにより焼失した左腕を含む全身の傷が一瞬で元に戻る。そして、下にいる氷花に向かって突進する。氷花も空にいるシャドウに向かって上昇する。


「ダアアアアアア!!!」

「ハアアアアアア!!!」


 天と地の中心で黒と紫がぶつかる。大量の火花が辺りに飛び散り、空間全体を揺らす。2人が超高速で空を飛び回り、ぶつかり合う。飛行と転移を何度も高速で発動させ、剣と銃をぶつけ合う。その速度は先程までの戦いとは比べ物にならないほどに速い。常人がこの2人の戦いを見ても、姿を追うどころか見ることも出来ず、絶えず空間を揺らす振動によって立つことすら出来ないだろう。それ程までの力を出し合うのは両者共に初めてのことだった。いや、持っている力以上の力をは気付かぬ間に出していた。


 その証拠にシャドウはこれほどの激戦を繰り広げているのにも関わらず、分身銃エデンを縦横無尽に動かし、無数の紫の軌跡を描いていた。状況に応じて絶えることなく銃換装バレットチェンジを行い、さらに煉獄流星炎イグニスブラスターと同じくとてつもない威力を持った魔法を同時に何発も発動し、氷花の体力を削っている。


 氷花も四属性付与エレメンタルチャージの連続発動。さらにシャドウ同様に大量の魔法を同時に何発も発動し、攻撃を与え、分身銃エデンを破壊していた。2人の放つ巨大な魔法が何発も地面に落下し、クレーターにさらに深い穴を無数に作っていく。


 もはや2人の視界にはお互いの姿しか映っていない。いや、魔力や気配でさえも互いを感じとり、視界が塞がろうとも戦闘を続ける事が出来るだろう。それ程までに2人の力が一気に上昇し、己の限界という硬い殻を破りかけていた。


多重連続電鞭ガルヴァヴェーラ

煉獄流星炎イグニスブラスター


 氷花の放つ10発の黒炎とシャドウの放つ大量の紫雷が空中で激突し大爆発を起こす。ボロボロになっていた地面が捲れ上がり、吹っ飛んでいく。巨大なエネルギーがぶつかったことにより、プラズマが発生し空間を漂う。そのプラズマさえも吹き飛ばす勢いで両者がぶつかり、魔法が宙を飛び交う。


 一際強い音で衝突する。その衝撃で両者共に吹き飛び、互いの武器の間合いの外で踏み留まる。


「ハア、ハア、ハア、ハア、ハア、ハア、」

「ハア、ハア、ハア、ハア、ハア、ハア、」


 互いに息を荒らげ動きが止まる。裂傷、火傷、凍傷等、様々な傷が2人の全身に痛々しく刻まれていた。全身から流れる血がボタボタと地面に落ちていく。限界を超え、力を発揮した両者の魔力はお互いにあと1発、魔法を発動させる事が出来るくらいの量にまで減っていた。そのため回復に魔力を使うことは出来ない。そもそもそんな隙を作れば一気に決着を付けられる。そのことを両者は理解していた。だからこそ戦闘中にも一切の回復魔法を使っていない。氷花の自動回復オートヒールも切っており、その魔力も全て攻撃に使っていた。


「どうやらこの楽しいコンサートも、ラストスパートみたいですね」

「そうだね。ちょっと残念かも」

「最後に聞いておきたい事があります」

「スリーサイズは教えないよ」

「あなたを突き動かしている感情は何ですか。怒りですか、憎しみですか?」

「言ったでしょ。私はシアの元に帰らないといけない。いや、帰りたい。だから負けられない」


 その言葉を聞いたシャドウは何故か口元をニッと上げ、正解を出せた生徒を褒める教師のような声を出す。


「ようやく自分の意思で戦えるようになりましたね」


 その言葉に氷花が僅かに動揺する。敵のはずのシャドウの様子が変わったからだ。だが、シャドウそんな様子をすぐに解除して銃を構える。


「なら、僕の必殺技で決着を着けます!!!」


 幻影竜巻ファントムサイクロン銃撃シューティング


 氷花の周りに無数の分身銃エデンが配置される。より強い紫色の光を纏った分身銃が氷花を中心に旋回し、幻影のように朧げな姿の分身銃が次々と作られていく。


 (けど、もう対処法は分かってる!)


 すぐさま転移テレポートを発動させようとする。だが、魔法陣が構築できない。まるで何かに妨害されてるみたいに。


転移テレポートが発動しない?!」


 氷花が驚きの声を上げると、自慢げな声でシャドウが答える。


「先程の幻影竜巻ファントムサイクロン銃撃シューティングの時は防御に専念していたから気付かなかったかとしれませんがこの技には転移を妨害する効果もあります」

「つまり、逃げ場はないってことね」

「そういうことです。だからこそ必殺と呼ぶに相応しいんです」


 既に氷花よ周りを紫の嵐が覆い、逃げ場がなくなっている。最初の幻影竜巻ファントムサイクロン銃撃シューティングは強引な回復により助かったが、もうそれができるほどの魔力は残っていない。つまり完全な詰みだ。


 (ここまでなの?)


 氷花の胸を絶望が苛む。


 あるよ。君にはこの状況を打破する力が。


「、だ、誰?!」


 突如、氷花の頭に女性の声が響く。それはこちらを見守っているかのように優しい声だった。


 君の魂の奥底に眠っていた力は私が解放してある。さあ、使うといい。君だけの[ORIGINAL:CODE]を。自分の意思を見つけた君なら使えるはずだ。


 ツインテールが熱く脈を打つ。そして、魔力を求めるような感覚が発生する。


「熱い!!」


あまりの熱量に顔を顰める。だが、一縷の望みをかけてその感覚に逆らわずに黒い魔力を流し込む。


 魔力が流れ込むのに連動するように髪が肥大化し、髪を留めていたゴムバンドが弾け飛ぶ。ユラユラと揺らめいていたツインテールが頭部に近い部分から鱗のような質感と見た目に変化していく。やがて毛先の部分が竜の頭部のような形に変化する。


「ちょ、何これ?!」


 狼狽している間にも竜の頭部はさらに変化していく。二対の角、爛々と赤く光る瞳。変化が完全に終わると、頭部が裂け巨大な顎を開かせる。ツインテールが二対の竜の首に変化した。グルグルと低い唸り声を白い息と共に漏らしている。


 さあ、世界を壊せ!!!


 溜まりに溜まった魔力が強烈な熱を持ち、全身が燃え上がるほどな感覚に陥り、たまらず体の奥底から叫び声を上げる。


「ウ、ウアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」


 [黒:世界を改変するヴァルデンモス竜の咆哮ローア]


 二対の竜がその巨大な顎を開け、竜の咆哮を世界に鳴り響かせる。空間全体が歪み、波紋のように世界が波打つ。


「何をするかと思えば最期の遠吠えですか。もう打つ手無しですか?」


 相変わらずの余裕の表情で氷花にとどめを刺すために幻影竜巻ファントムサイクロン銃撃シューティングを発動させようとする。だが、その直後、魔力が溜まり、発射寸前だった分身銃エデンと作り出された幻影が空気に溶けるように消滅したのだ。そして、変化はそれだけでは終わらなかった。


 パリン


 儚い音を立ててガブリエルに展開されていた魔法陣も消滅する。


「僕の魔法が消えた?!」


 今の君の[黒:世界を改変するヴァルデンモス竜の咆哮ローア]では効果は長くは続かないよ。さあ、勝負を決めるんだ。


「君は一体誰なの?」


 そのうち分かるさ。今は目の前の敵を倒すことだけを考えればいい。大事な人がいるんでしょ。


「分かった。ありがとう」


 氷花の礼に答える声は無かった。声の正体は物凄く気になるが、声の言う通り氷花には勝たなければならない理由がある。


 迷いを振り切るように空高く飛行する。シャドウよりも高い位置を陣取り、黒百合の魔法陣をシュバルティネオにスキャン。


 いつものように濃密な黒い魔力が剣に纏わりつく。だが、生成される魔力がいつもとは比べ物にならないくらい増えている。氷花でさえ気を抜けば魔力暴走を起こしてしまうくらいに。


 剣を両手で構え、天高く掲げる。溢れる魔力をシュバルティネオが耐えられるギリギリまで流し込む。黒い魔力が巨大な剣の形になり、空高くそびえ立つ。


「させません!!!」


 この技の危険性に焦ったシャドウがガブリエルの引き金を引く。だが、


「な、何で。弾が出ない?!」


 カチカチと音が鳴るがいつもの魔力弾が出ない。そうしてる間に氷花の技が完成する。


 黒百合瞬刻技リリーネスアサルト


「行ッけええええええええ!!!!!」


 空高く伸びる巨大な黒い剣を思いっきり振り下ろす。自分に迫る膨大なエネルギーの塊を目にして、顔面を恐怖に染めるシャドウ。


「シャ、シャスティィィィィィィィル!!!だ、ダメだ!発動しない!!!グ、アアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」


 自分の存在を世界から切り離す魔法をシャドウの持っているなかで最も強力な魔法を発動しようとするが魔力弾同様に発動しない。


 断末魔を上げるが黒い光にその身と共に呑み込まれてしまう。黒き剣はシャドウを呑み込むだけでは消えず、地面に激突し大爆発を起こす。


 巨大な黒百合瞬刻技リリーネスアサルトがゆっくりと消滅していく。地面に残ったのは、一直線に出来た王都のメインストリートよりも大きい穴だけだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 私はゆっくりと地面に着地する。そして、黒い魔力が水色の魔力に戻る。今までにないくらいの疲労で足がガクガクと震える。けど、まだ座るわけにはいかない。

すぐさま魔力感知サーチを使いシャドウの魔力を探る。


 また魔力が感じられない。影化シャスティールで躱された?いや、さっきの攻撃は確かに当たったはず。それに私が使ったあの魔法。


 私の脳裏によぎったのはあの黒:世界を改変するヴァルデンモス竜の咆哮ローアという正体不明の魔法だ。もう一度使おうとするが下ろした髪が動くことはなかった。あの魔法を私は作った記憶がない。というよりそんな強い魔法があるなら最初から使ってた。黒百合瞬刻技リリーネスアサルトによって生まれた穴を除くが、姿も見えず魔力も感じられない。


 でも、シャドウは紫:影化シャスティール転移テレポートも使えなかったんだよね。という事は死体すら残さず消えたのかな。あの威力の攻撃なら有り得るよね。


 それを確かめる手段は私には無い。

 

 まあ、また現れたら倒せばいいよね。


 そう無理矢理自分を納得させ、シュバルティネオを魔法陣に収納しようとした瞬間、


 ピシ、ピシ、


 という音と振動が右手に伝わってくる。バッと顔を向けると、シュバルティネオに大量のヒビが入っていた。ヒビは今も少しずつ大きくなり、刀身を蝕んでいく。恐らくこの一連の戦いで酷使され耐久力が減っていたところに黒百合瞬刻技リリーネスアサルトで大量の魔力を流し込んだことで限界を超えてしまったのだろう。


「ちょ、待って!」


 バキン!


 私の制止の声を聞かずに刀身と柄が粉々に砕け散った。地面にシュバルティネオの残骸が落下する。


「あああ!!シュバルティネオ!!!」


 黒い破片になった愛剣の側にしゃがみ込み、破片を集めようとする。けど、私はこうなる事が正解なのではないかと思ってしまった。シュバルティネオは500年前の戦争を生き抜くために作った武器だ。そして戦争も終わり、因縁の相手も倒す事が出来た。もう、シュバルティネオの役目は終わったのだ。なら、もう休ませてあげよう。


「………ありがとう………」


 思わず込み上げてくる涙を目に溜めながら、心の底からお礼を言う。


 渓谷に強い風が吹く。シュバルティネオの残骸が宙に舞い上がり、どこかに運ばれていく。もうこれで修復することも出来ない。一度過ぎた時間が戻らないように。


 そして、その過ぎた時間の中で決して失ってはならないものが絶対生まれる。私はそれを守るために転生し、この時代に再び生まれた。そして恐らく、いや、間違いなくそれは生きている限り新しくできて、守るのが難しくなる。正直理不尽に思っちゃうけど私は自分に理不尽が襲いかかってきても大切な何かを守るために魔法を作ってきたのだ。


 だからこれからも強くなり続けるのだ。今の自分なんかと比べ物にならないくらい。強くなり続ける。最高のハッピーエンドを迎えるために。魔法剣士ネオとしてではなく、ただの氷花として。


 震える足に力を込め立ち上がる。すると、魔力がゆっくりと近付いてくるのが感じられた。その方向を見ると、シアが赤い魔力を帯びながらゆっくりと飛行してきた。時々ふらつくのを見る限り、恐らく魔力が人間から魔族のものに変わったため、上手く制御が出来ないのだろう。


 シアと私の目線が合う。すると険しい顔をしていたシアの顔がパッと咲き誇る花のように綻び、手を振ってくる。


 (私にとって失ってはいけないもの。それは間違いなく)


 シアが地面に降り、私に向かって駆け出す。彼女の笑顔を見るだけで心が満たされ、傷の痛みも引いていくように思ってしまう。


「ギルファ。私は、シアを君に願われたからでも、罪滅ぼしでもなく、自分の意思で守り続ける。これから何があってもシアを失わない。絶対に」


 かつての友に、そして今と昔の自分に向けて決意を言葉にする。


 思い切り抱きついてきたシアの体を両腕で強く抱き寄せる。そして同じ目線で互いを笑顔で見つめ合い、長いキスをした。

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