第3話
ランビーノに、カルデア王国の暗殺者からの、タンジア王子の護衛の使命が、王から下された。
ランビーノは、その使命を、侍者から聞いたのは、ハルビア町のうらぶれた宿屋の一室だった。
ランビーノな、この頃、15歳となったミネアと共にハルビア町の賞金稼ぎに来ていた。
15年前、ミネアはランビーノといかだで海を下り、サンファンの港へと辿り着いた。ランビーノは、ミネアのために、しばらくサンファンの地に定住した。
周囲に誰も住んでない、海が見渡せる山頂に、小屋を建てた。必要なものを買いに行くときだけ、町に出る。
ランビーノが町におり、市場でオムツやミルクを買う時、
「あら、良い人がいるのね」
と、おばちゃんたちに、からかわれた。ランビーノは、声がかかると、照れたように、頭を掻いた。黒い衣をまとい、怖そうな二刀流の剣を腰に構えながら、ミルクを買うランビーノを、町の人々は、温かく見守った。
ミネアが剣に興味を持ったのは、歩き始めたらすぐのことだった。ランビーノは、滅多に剣を身から離すことはない。
ミネアは、ランビーノが横になって休んでいるところを見計らい、剣に触ろうとした。
ランビーノは、瞬間に察知するが、鞘に包まれるているため、怪我はしないだろうと、好きにさせた。
ミネアが5歳になる頃、ランビーノが山で剣の修練をするのを、一緒に行きたいと、泣いてせがむようになった。
泣きわめくミネアに、ランビーノは折れて、一緒に連れて行くようになった。ランビーノは、女の涙に弱かった。
そして、ランビーノが山で修行をする間、ミネアもまた、木の棒で剣を真似て作り、何度も何度も木棒を振っていた。
ミネアは、よく本も好んで読んだ。ランビーノは、ミネアに頼まれて、市場で本も買うようになっていた。
「俺と違って、頭の良い子だ。何も教えてないのに、言葉を理解し、難しい本も読めてる」
ランビーノは、感心をして見ていた。
ミネアは、言葉を話すようになると、ランビーノのことを、本から真似て、お父さんと呼ぶようになった。7歳になると、ランビーノは、ミネアを海辺で拾ったことを正直に話した。
「でも、私はランビーノだけを、本当の親だと思ってる」
ミネアは、ランビーノの黒い瞳を真っ直ぐに見て言った。
「お父さん、私、剣士になりたい」
ミネアは、本当の両親のことを、心の底に押し込めてしまいたいのか、それからはがむしゃらに剣の腕を磨いた。
はじめはランビーノも、女が剣士などと、渋っていたが、朝から夜まで山にこもるようになったミネアを見て、早いうちに諦めた。
ランビーノは、ミネアに求められるまま、剣の技を教えた。ミネアは、筋がよく、教えられたことは、一回で習得した。
次第に剣の腕がのびていくミネアに教えるのが楽しくなった。ランビーノは、武術も基礎から教えるようになり、ミネアはどんどんと剣の腕を上げた。
そして15年後、ミネアはランビーノも超えるほどの剣士として成長し、共に生活費を稼ぐため、1年に数回、賞金稼ぎのため、町を出るようになった。
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