第2話
名剣士の名は、ランビーノ。アリシア王国随一の名剣士である。年は24。若いが、二刀流の剣は、突風より早く、一太刀で気流の渦がたち、竜巻が発生するほどだった。
ランビーノは、さらに腕を上げるため、国を放浪し、修行を積んでいた。
そして、今、浜辺の村レーンから、次の地へといかだに乗り、出発するところであった。
「ん?赤子の泣き声?」
ランビーノは、確かに聞こえてくる泣き声を不思議に思い、いかだの上にある木の籠のほうへ行く。
「こんな、籠、あったかな?」
ランビーノは、籠の中にいる赤子を見つけ、びっくりしてのけぞる。
「なに?」
籠の中から、毛布にくるまれた赤子を手にとる。
「捨てられたのか?」
ランビーノは、赤子の顔を見て聞いた。白い肌に金色の巻毛、青い瞳、ピンクの唇。美しい赤子であった。
「俺と同じだな」
ランビーノは、昔を思い出す。ランビーノもまた、幼きときに母に捨てられ、一匹狼として剣の腕をあげてきた。
(俺は、誰にも拾われず、盗みや捨てられたゴミを漁って、なんとか生きてきたな、、)
ランビーノは、首につけられた、金の札を見た。名が記されている。
「ミネアっていうのか。高価そうな金の札、持ってるな。俺についてくるか?」
ランビーノは、ミネアを高い高いして、聞いてみた。すると、ミネアは、嬉しそうに笑い出す。
「そうか、来たいのか!じゃあ、一緒に行くか」
ランビーノは、赤子を胸に抱いた。いかだは、修理をする必要がなさそうだった。ランビーノは、すぐに出発するか、ミネアにミルクでも飲まそうか、迷った。
空を見上げると、月も星も穏やかであった。海を渡るなら、絶好の夜であった。
「ミネア、悪いな。ミルクは、次の地に着いてからだ」
ランビーノは、懐にミネアをしっかりとくるみ、いかだを出発させた。ミネアは、安心したように、すやすやと眠りについた。
15年後、カルデア王国とアリシア王国の関係は悪くなっていた。
カルデア王国とアリシア王国の国境の境に、石油が湧き出た。サーリャの地は、山の民がおさめており、どちらの領土でもない、無主地であった。
リャンヨンの山の民が統治していたが、どちらの国にもついてなかった。
石油が沸くまでは、ただの山岳地であった。両国とも、石油が沸いた途端に、サーリャの地は、自国の領国であると主張した。
カルデア王国とアルシア王国は、互いに使者を送り、話し合いの席を設けた。話は平行線で、先には進まなかった。
そんな中、アルシア王国の王子、タンジアが、サーリャの地に出向き、山の民と席をもうけた。山の民の長は、アメジストという、赤い髪の女であった。
アメジストはタンジアの、勇敢な言葉と、礼儀正しさに好感を持った。アルシア王国の配下になることを、考えていくと約束した。
サーリャの地が、アルシア王国につくという噂は、瞬く間に広がった。
カルデア王国は、黙っていなかった。王は、アルシア王国の王子を暗殺するよう、カルデア王国の1番の剣士に指令を送った。
アルシア王国は、その情報をスパイである黒子に聞く。両国はそれぞれ、サーリャの地を巡り、戦争に踏み出そうとしていた。
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