今日は二人で
あれから私は瑠菜と一緒に家を出て、通学路に出るまでは手を繋いで、学校に来た。
教室に入り、瑠菜と別れた私はいつも通りに美菜璃に挨拶をしようとしたら、今日は珍しいことにまだ来ていないことに気がついた。
美菜璃が私より遅いなんて珍しい……確かに今日起きるのはいつもより早かったけど、家を出るのはいつも通りだったはずだし、単純に休み?
まだホームルームまで時間があるので、私はスマホを取り出し、美菜璃に学校を休むのかとメッセージを送った。
することもなかったので、そのまま既読が付くまでメッセージを眺めようと思っていたら、既読がつくことなく、先生が来てホームルームが始まった。
ホームルームが終わり、私は先生に呼び出された。
なんの用だろう。特に悪いことはしてないと思うんだけど。いや、気が付かないうちに何かやってる可能性も……
そんな私の不安を知ってか知らずか、先生は口を開いた。
「白輪地は吉田と仲良かったよな?」
「まぁ、はい」
「だったら吉田は熱があるらしく、今日は休みだ。だから、今日配られるプリントとかを吉田の家に届けてやってくれ」
だから今日は美菜璃いなかったんだ。
と言うか、こういう、プリントを届けて欲しいとかって普通、帰る時とかに言うことじゃないんだ。
そんなことを頼まれたのは初めてだったので、私はそんな感想を抱いた。
確かに私は美菜璃のこと友達だと思ってるし、プリントとかを届けてあげたいとは思う。けど、私美菜璃の家知らないんだよね。
私はその事を先生に伝えた。
「後で住所を教えるから」
「そういうのって勝手に教えていいものなんですか?」
「こういう時のためのだからな」
私にはよく分からないけど、先生が良いって言うのならいいんだろう。
私は席に戻り、一限目の教科の教科書を準備しながら、スマホを見るが、まださっき送ったメッセージに既読はついてなかった。
先生が熱があるって言ってたし、寝てるのかな。
そして美菜璃から返信が来ないまま、お昼休憩の時間になった。
私は美菜璃の心配をしながらも、食堂へ向かおうとしたら、今日も瑠菜がお弁当を作ってきたから一緒に食べようと誘ってきた。
もう人目なんかお構い無しだ。
「……友達と食べないの?」
「友達より、恋――」
「た、食べよう! 一緒に」
突然の私の大声にびっくりしたのか、ただでさえ集まっていた視線をもっと集めてしまった。
でも、仕方ないと思う。美菜璃一人に私たちの関係を言うのなら、まだ、まだいい。けど、クラスメイトがいる中で、それはまずいでしょ。百歩譲って瑠菜が女の子が好きなのを受け入れられたとして、相手が私なのが無い。ありえない。
相変わらず瑠菜が不服そうな顔をしてくるけど、だめだから。
「今日も食堂?」
「……今日は美菜璃も居ないし、他に食べたいところがあるならそっちでいい」
「じゃあ、外で食べよ? 人気の少ないところ知ってるから」
瑠奈はなるべく小声で、人に聞こえずらいようにそう言ってきた。
人気が少ないならそっちの方がいいか。
「分かった」
私はそう返事をし、瑠奈にその場所まで連れていってもらう。
瑠奈に連れていかれた場所は、学校の裏? 的な場所だった。一応段差があってそこに座れそうだけど、スカートが汚れれそう。私は気にしないけど、瑠奈は大丈夫なのかな。
そんな私の心配を他所に瑠奈は普通にそこに座った。
「あ」
思わずそんな声が漏れてしまうのも仕方ないと思う。
「れーな? どうしたの?」
「スカート、汚れるよ」
「このくらい後で払えば大丈夫だよ」
……確かにそうだとは思う。けど、瑠奈がそんなことを言うのは正直意外だった。
まぁ、どれだけ長く一緒に居ても知らないことぐらいあるか。
私は瑠奈が気にしないのならそれでいいかと考え、瑠奈の隣に腰を下ろす。
丁度その時だった。私のスマホが振動したのは。反射的にスマホを取り出し、美菜璃とのトークを開こうとした所で、瑠奈にスマホを取り上げられてしまった。
「え、瑠奈?」
「あの子への返信なら後ででも出来るでしょ。今は私のことだけ考えて」
……多分だけど、その言葉はこういう時に使う言葉じゃないと思う。
でも、確かに瑠奈と話してたのにいきなりスマホを取り出したのは失礼かもしれない。
「分かった。けど、一瞬でいいから確認させて」
それでも何かがあって連絡してきたかもしれないので、それだけでも確認させて欲しかった。
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