なんで?
「分かった」
そう言って瑠奈はスマホを返してくれた。
開き掛けの美菜璃とのトークを開き、メッセージを確認する。
【もう分かってるかもだけど、熱出て休み】
まぁ、仮に何かあったんだとしても私じゃなくて、他の人に連絡するか。
【プリント届けるついでにお見舞い行くから、欲しいものあったら連絡しておいて】
そう美菜璃にメッセージを送った私はスマホを瑠奈に差し出した。
「え?」
私がスマホを渡すと思わなかったのか、瑠奈が目を丸くさせ、差し出されたスマホと私を交互に見ている。
「さっき、瑠奈のことだけ考えるって言ったから」
言ったというか、分かったって言ったんだけど、同じだよね。
「い、いいの?」
「スマホ持ってたら、いじると思うし」
「ありがと、れーな」
私はスマホと交換になるような形で瑠奈から弁当を受け取った。
蓋を開けると、卵焼きに唐揚げ、トマトにキュウリが入っていた。
美味しそう。
「いただきます」
そう言って私は食べ始める。
瑠奈も隣で「いただきます」と言い食べ始めた。
瑠奈が作る卵焼きって私のお母さんが作る卵焼きとは全然違う味付けなんだけど、瑠奈が作る卵焼きも好きな味だ。
「美味しい?」
また、私が半分ぐらい食べたタイミングで、さっきからうずうずしてた瑠奈がそう聞いてきた。
「美味しい」
「良かった」
瑠奈は私の言葉を聞いて、昨日同様に含羞む。
流石に昨日一回見てたし、心の準備をしておいたから昨日みたいに内心で動揺したりはしなかった。
ただただ可愛いと思っただけだ。
「ご馳走様」
食べ終わった私はそう言い、瑠奈の方を見ると瑠奈はまだ食べ終わっていなかった。
食べてる途中に話しかけるのはあれかと思ったので、反射的にポケットに手が伸び、スマホをいじろうとしてしまったが、スマホは瑠奈に預けてあるんだった。
私はあんまりスマホ依存症とかではないと思ってたんだけど、案外スマホ依存症なのかもしれない。
瑠奈のことだけ考えるって言ったんだし、瑠奈のこと考えようかな。
私の幼馴染で、可愛くて、人当たりが良くて……美菜璃以外には良くて、料理も出来て、家事全般も出来る。なんなら運動神経も良くて……瑠奈の欠点って何? ……強いて言うなら私と幼馴染な所か。……やばい、自分で考えておいてなんか泣きそう。
と言うか瑠奈ってなんで私の事好きなんだろう。女の子が好きなんだとしても、私なんかよりいい人はいっぱいいると思う。
「ご馳走様」
そんな考えをしていたからか、瑠奈が食べ終わったのに気がついた私は反射的に、瑠奈に聞いていた。
「瑠奈は……なんで私の事好きなの? 私よりもいい女の子、いると思うけど」
「……れーな、別に私は女の子が好きな訳じゃないよ?」
「え」
……確かに私は雑なところがあると思う。オシャレに気を使ったことだってない。それでも、私だって一応女の子なんだけど。
瑠奈から女の子として見られていなかったのかと内心ショックを受けていると、瑠奈が続けて言った。
「れーなだから好きなんだよ? 性別とかどうでもいい」
あ、良かった。流石に女の子として見れれてないわけではなかったのか。
いや、そうじゃなくて、私だから好きとかますます意味がわからないんだけど。
「……なんで?」
気がつくと私はそう呟いていた。
「分かんない。気がついたら好きになってたの」
そう言われて気がついた。
私もだ。なにか明確な理由があって瑠奈を好きになったわけじゃない。私も、気がついたら好きになってた。いや、ずっと一緒に居てくれるからって理由はあるんだけど、それは好きになってから思ったことだ。
「何か、明確な理由があって落ちる恋もいいと思うけど、明確な理由なしで落ちる恋も私はあっていいと思うよ?」
「そう」
素っ気ない返事になってしまう。
すると、瑠奈が私に抱きついてくる。
「満足してくれた?」
「……納得はした」
「良かった。好きだよ、れーな」
「私も」
「うん」
え!? 信じて貰えた!?
「いつかほんとにすきになってもらうから」
「……はぁ」
私は思わず、小さくため息をついてしまう。
幸い瑠奈には気が付かれてないようだから良かった。
「れーな、そろそろ休憩時間終わっちゃうから返しとくね」
「あ、うん」
「教室戻ろ?」
「分かった」
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