好きな人だから
放課後になった。
あれから授業中も瑠菜が急に怒り出した理由を考えてみたけど、結局分からなかった。
だから私はスマホを使って放課後クレープを食べに行こうと瑠菜を誘ってみたら、直ぐに既読がついて返信が帰ってきた。もちろん返信は了承の返事だった。
瑠菜って甘いもの好きだし、単純に糖分不足で怒り出した可能性も……ある、と思う。
美菜璃とは帰る方向が違うので、学校で別れて、私は今人気が少ないところで瑠菜を待っている。
「お待たせ、れーな」
「全然待ってない」
「れーなの方からこういうの誘ってくるのって初めてだよね?」
「そう?」
さっきまでの学校での雰囲気が嘘のように瑠菜の雰囲気が明るい。
学校って言っても、友達とは普通に喋ってたみたいだけど、美菜璃を見る視線はかなり危ういと思った。
単純に相性悪いのかな。あの二人。
「瑠菜、近い」
「いつもこれぐらいじゃん」
「今は放課後だし、どこに目があるか分からないから」
私がそう言うと瑠菜は更に距離を縮めてくる。
「そんなの私気にしないから」
「瑠菜がそうでも私は気にする」
私がそう言うと瑠菜が不満そうな顔で抱きついてきた。
いつもならここら辺で引いてくれるのに、今日は何故か引いてくれない。
「瑠菜? 何か嫌なことでもあった?」
「……あった」
……嫌なことがあったから私に甘えたいってこと? 可愛すぎない?
人気がないのは分かっているとはいえ、全く居ないわけじゃないので一応学校の人が居ないか辺りを見回してから、瑠菜の頭を撫でる。
すると瑠菜は私に抱きついている腕にギュッお力を入れて、もっと撫でてと言ってくる。
こんな状態の瑠菜見たことないので、何があったのか気になるところではあるけど、プライベートなことかもしれないから私は何も聞かずに瑠菜の頭を撫で続ける。
「……れーなが私以外の子とイチャついてた」
「……?」
もしかしてさっきのメッセージの事言ってる?
「今日私、瑠菜を除いたら美菜璃以外の人と喋ってないよ」
「その子とイチャついてたじゃん!」
ますます意味が……いや、頭を撫でたことを言ってる?
「頭撫でてたこと言ってる? それならそれはイチャついてたわけじゃないから」
「それもあるけど! そっちじゃなくて……」
そっちじゃない? 私が疑われるようなことなんてそれぐらいしかしてないと思うけど。
「……その子に今日、あーんってされてたじゃん! そ、それに関節キスまでしてたし……」
……メンマの時の話してる? 確かにそう言われたらそうだけど、それは友達だったら普通じゃない?
私はそう思い、瑠菜にそう言ってみたんだけど……
「嘘」
「嘘じゃない」
「じゃあ、なんで付き合う前の私としてくれなかったの?! 付き合う前は友達だったでしょ! 私があーんってしてもいつもしてくれなかったから、他の人にもそうだと思ってたのに」
「それは……」
瑠菜は涙目でそう言ってくるが……当たり前でしょ!? 友達である前に好きな人なんだから、無理に決まってるじゃん!
どうしよう、こんなことバカ正直に言える訳……いや、もう付き合ってるんだし、言ってもいいか。
「……好きだったから、その、恥ずかしかった」
私は少し瑠菜から視線をずらしながらそう言う。
「う、嘘だよ。た、確かに恥ずかしいだろうけど、私だったらしたいって思うし!」
「それは瑠菜だからでしょ。少なくとも私はそう思わなかった」
そもそも瑠菜が私を好きだったなんて知らなかったし、幼馴染っていう立場を利用してそういうことするのは嫌だったんだよ。
「……じゃあ、仮に、そうだったとして今ならしてくれるよね? ふ、普通のキスも」
「それは……まだ早い」
「やっぱり嘘じゃん!」
「嘘じゃない」
「……じゃあ、今日あの子がやってたことはしてもいい?」
美菜璃がやってたことだから……食べさせるやつと、関節キス……だよね。
正直まだ心の準備とかが出来てないんだけど、ここで断ったらほんとに瑠菜のことが好きって信じて貰えなくなるし……
「分かった」
「手、繋ご?」
「……人が多くなってきたらやめるから」
「うん」
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