第14話 大きく振りかぶって

 車に戻った俺は隣に彼女が座ったのを確認してからゴブリンの群れに照準を合わせアクセルを思い切り踏み込み突撃する。

『『『ギャッギュ¥$☆♪*○:〒%#』』』

 声にならない叫び声をあげながらゴブリンはトラックによって蹂躙されていく。

「なんだろう……。これって良いのかな? 普通なら必死になって戦ったりするけど、この乗り物になってるだけで討伐数が増えていって………。楽をしてる感じだから何だか罪悪感が凄いのだけど……」

 そういって助手席に座る彼女はフロントガラス飛び散るゴブリンの血だと思われる緑色の液体と轢いてる際に千切れたであろう耳や腕を見て呆然としている。


 それからどのくらい経っただろう轢き続けること数十回……。ようやく辺りのゴブリンや他の魔物も轢き殺し、周囲が安全になったのを見計らって俺達は再度車の外に出てピッケルを地面や土壁に向かい振り下ろす。


「どのくらい掘り進めれば目当てのアパラチア鉱が出てくるの? やっぱり結構掘り進めないとダメなのかな?」

 土壁に力を入れて振り下ろしていく。

「んんーっ、どのくらいの量が必要なのかにもよるけど基本、武器とか防具を作るためだったら数十キロは必要になるから少なくとも2、3日はかかっちゃうと思うけど……」

 振り下ろしたピッケルの先を見つめながら驚いた様子で彼女は地面を見つめる。

「どうしたの?」

 驚いている彼女に声をかけると彼女は地面を指差しながら

「鉱脈見つけたかも……」

 そういう彼女の指差す地面には赤と白がマダラ模様になった鉱石が地面に無数に広がっている。



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