君への復讐
@mohoumono
第1話 荒唐無稽なアイデンティティ
僕は、鳥を見てその姿を羨ましく思う。
あぁ、あれだけ空を飛べればどれだけ気持ちがいいのだろうか。何をしたら空を飛べるのだろうか。
そういえば、鳥の祖先は実は恐竜だなんて話を聞いたことがある。なら、僕らは滅亡したら空を飛べるようになるのだろうか。だったら隕石が降ってくれればいいのに。
まぁ、どうせ何も降らないし変わり映えのない日常を送る事になるのだろう。
でもそれがどうしても許せなかった。
でも僕だけじゃなく、多かれ少なかれ誰もがそういう気持ちを抱えてるはずだ。
不幸にならなければ、
幸福になってはいけない。
そんな荒唐無稽なアイデンティティを背負うのだ。それがこの一輪の花で収まることが、できたのならば、どれだけ生きやすいだろうか。
でも、この気持ちを失えば君は、どこで生きられるのだろうか。
なら、せめてクラスメイトや君の家族が、
気持ちの折り合いをつけたとしても、
僕くらいは、毎日ここに来てあの時君が好きだと言って、栞にしていた花と同じ種類の花を、持ってこよう。
あの時に、僕の背中に翼さえ生えていれば、君は飛ばなかったのだと思うから。
君が飛んでからというもの、僕はそんな荒唐無稽なアイデンティティを生やした。
空を飛ぶどころか地を這う生活をしている。
だからこそ、僕が空を飛ぶことはない。
だから、君が羨むような話をして君を後悔させてやる。これが僕の君への復讐だ。
君への復讐 @mohoumono
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