第40話 恋ばなと夢の国10
キィーキキキーッ!!暗闇の中、何かの鳴き声の様な音がする度に、
「キャー!!」
と言う声と、すがり付いてくる千早さん。
と言うか、僕個人的には、そこまで怖いのか、これ?と思っていて……怖いってよりコミカルだしさ、お化け的な物だって、シーツを被ったお化けとか、ハロウィンのカボチャお化けみたいなのだし、確かにドキドキしてるけどさ!!お隣の◯◯様に駄目人間にされちゃう勢いでさ!!女の子にしがみつかれたらね!!
◯◯?千早さんの事だけど何か?
そうしてる間も聞こえてくるんですよ!後ろから!!
「あっ!!ちーちゃん、また行ったー!!」「あれ、絶対ワザとですよね!!」「胸を当てに言っるよねー!!」「胸……あんなの胸がデブいだけなんです」「ちょっと待ってよーそれじゃ私、胸が超デブいじゃなーい!!」「それ、自慢してませんか?密かに自慢してませんか?」「全然、密かじゃ無いけどねー!!」パチーン!!「痛ー!!むっちゃ痛ーい!!」「蚊がいました」「あぁ、おっぱいまた腫れちゃうわー!!」「氷で冷やせばしぼみますか?」「あー!!また、ちーちゃんめー!!ねぇ、あの役、絶対私向けだよねー!?」「よっ、夜空君は、巨乳好きなんかじゃないですからね!!どっちかと言えば貧乳好き何ですからね!!」「いーえ、男はみんな巨乳好きだよー!!」
ちょっとー!!聞こえてるからー!!僕は……言わないよ!!
「で、どっちなの?」
いたずらっぽく聞いてくる千早さんに僕は、自分の口の右から左にチャックのサイン
「言いません!!」
千早さんが楽しそうに笑った。
アトラクションも中盤になると千早さんも慣れて来た様でとても楽しんでいる。
空中に浮かんでいるCGのお化けを手で触ろうとしたり、脅かすなー!!と、殴る真似したり、いつもよりも子供っぽくて、可愛らしい。
ニコニコしている僕を見て少し恥ずかしそうに「何よー!!」と膨れる。
少し顔を見合わせて、笑った。
「聞いてよちーちゃん!!最後のシーンの時、レアお化け出たんだよー!!」「うん、出た出た、眼帯ネコのユーレイが出たんですよ!!可愛かったー!!」確かガイドブックに載っていた、大体十分の一位の確率で姿を表す眼帯ネコ。この幽霊屋敷の裏ボス的存在っていう設定以前に無茶苦茶可愛いと評判で、見れる物なら見てみたかったな。勿論、僕は一度も生で見た事は無い。
「凄いじゃない!!良いなー!!」
千早さんも羨ましそうに笑っている。
アトラクションから出て売店を見て歩く。
様々なグッズは、見ているだけでも飽きない。
「あー、眼帯ネコのぬいぐるみ、可愛いなー」
可愛いんだけどね、ゲーセンのクレーンゲームのぬいぐるみとはダンチの可愛さ何だけど…お値段だけが可愛く無い。
値札を見て顔をひきつらせる。
「ねぇ、ひなっちへのプレゼント?」
夕凪さんが、ニシシと笑って脇に肘打ちしてくる。
「流石に、これはキツいかな?」
「流石、夢がお金で買える場所」
千早さんも値札を見てうわっとした顔をする。
「夢も希望も無いな」
そう言って、みんなで笑う。
「そして、これは、さっきの眼帯ネコのサイズアップで少し不細工になった上に、値段も、サイズアップ」
うわっ、高い!!値段を見て吹き出した。
「あの、夜空君、三人で話して決めたんですが」
なっ何?
「こっちの小さい方のぬいぐるみ、三人てお金で出しあって、そのプレゼントにしたいと思って!!」
えぇ!!こんなに高いぬいぐるみを僕に!!いや、僕も流石にぬいぐるみって柄じゃ、いや、プレゼントは嬉しいんだけどね。
「うさぎちゃん喜んでくれるでしょうか?」
……あぁ、妹ね。
うん、知ってた!!だと思ってた!!とは言っても、「こんなに高い物頂けないよ!!」
必死に断る僕に、
「うさぎちゃんがクリスマスパーティー行ってくれたお陰で私達は、こうやってみんなで来る事が出来たんですから」
「そっ、来る前から皆で考えてたんだ」
「これで、ぴょんすけに下僕1号とは呼ばせないわよー!まぁ、あれはあれで好きだけど。」日向、千早さん、下僕1号さんか。
「ありがとう。…ぶふっ」本来感動のシーンなのだが、下僕1号が、妙に刺さって笑いそうになってしまう。
「よっ君、今、変な事考えた?」
「ビーピピブー♪」誤魔化す為の口笛が下手すぎて、我ながら笑ってしまった。
「ねぇ夜空君、巨乳って男の夢何でしょ?」さっきから、拗ねて僕にすがり付いてくる日向からの質問に苦笑いしつつ、
「あのねー、誰から聞いたのか知らないけど、少なくても僕は胸で人を好きになる事は無いからね。」この際、キチンと言っておこう。
「そーですか、そーですか、やっぱりよっ君は日向だけが大事なのねー」夕凪さんの冗談めいた膨れる姿に僕は、強めに言った。
「ち・が・い・ま・す」
「僕は、三人とも大好きですよ!!勿論、日向の事は一番好きですけど、みんな一緒にいて楽しいし、妹にも、優しくしてくれるし、明るいし。それに……僕をこんなに変えてくれたのは君達なんだよ」
「そう言ってくれるのは嬉しいけど、やっぱり男の人って、見た目が一番でしょ?」納得行かない顔の千早さんに、
「それは、否定はしないけどさ、それだけじゃ無いのだって本当だよ。ほら、皆外見だけじゃ無くて凄く素敵な人達だし、まぁぶっちゃけ皆美人で可愛いからな。まぁ僕は君達と知り合えて本当にラッキーなんだと思うよ」少し照れながらも、はっきり言えたと思う。
「どうも」「えへへーさんきゅ」「ありがとうございます、夜空君」三者三様にお礼を言ってくれたけど、僕としては本当の事を言っているだけの事何だけどね。
「そう言えば、そのプレゼントって僕からも出させて貰って良いかなぁ?一応、僕の妹だしさ、ちょっとはみんなの負担も軽くなるでしょ?」
小さく舌を出して、いたずらっぽく笑う。
「エヘヘ、もう夜空君たら」
「しょうがないなーシスコンはー」
「相変わらず、らしいよ、そう言う所」
三者三様に快く受け入れてくれた。
眼帯猫のぬいぐるみをラッピングして貰いロッカーに押し込んで少し身軽になる。
「そろそろ、早乗りの時間に近づいてきたよ!!」
早乗りチケットは開始時間の一時間前から、別のアトラクションの早乗りチケットが取れるのだ。
じゃあ、他の早乗りを取りつつ目的地へ向かおう。
今度はそろそろ、日向と一緒が良いな。チラッと日向を見ると日向も僕を見て笑ってくれた
「日向、次の早乗り何にしたい?」
「えーとねプラネットツアーズかな?」大きなコーヒーカップの様な乗り物に乗って、宇宙を冒険するんだ。
「良いですね!!あれなら、皆で楽しめます!!」
「良いね!!」「賛成!!!」
夢の国の冒険はまだ続きそうだ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます