2話

 羽田から釧路空港まで飛行機で向かい、それから雪兎の軽トラで家に行く。

 助手席には秋人が座り、残りの烏丸、紫子、連太郎、憂はタクシーで雪兎に付いて行くことになった。

「別に荷台に乗ればいいのにぃ」

「それ実は違法なんだよ」

「へえ~、それは知りませんでした。映画とかで見ますけど」

「まあ、あまり詳しく突っ込むのは無粋かと」


 雪兎の家は既に道警が家宅捜査をしており、遺体も運び出されていた。

「お疲れ様です。警視庁特別捜査部隊gift夏目紫子です」

 道警の刑事達は物珍しそうに紫子を見る。

「こちらが家主の冬月雪兎さんです」

「うわぁ、本当に捜査されちゃってるよ、僕の家」

「君ねえ、こういうことが起こったら、すぐに通報してくれないと困るよ」

「はぁい、すみませぇん」

 反省しているのだが分からない軽い口ぶりだった。

「夏目さん、すみません。こういう人なんです、雪兎君は」

「で、犯人の渡辺の奥さんは見つかったの?」

「今から森の中を捜索する予定ですが」

「じゃあ頑張ってね」

 刑事は雪兎の、のらりくらりとした態度に、「こいつ殴りたい」とか思ったが職務に徹した。



 結果として、奥さんは早い段階で見つかった。

 森の中で首を吊った姿で。

 遺書には夫を殺してしまった自責の念から自分も死を選ぶとのことが書かれていた。

「彼女は一度、冬月さん宅に戻った形跡があります。その後、冬月さんの家からロープを持ち出し、自殺した、と」

「雪兎君……」

「何で死んじゃうかなぁ」

「何故、彼女は一度、冬月さんの家に戻ったのでしょう」

「本当に死んだかを確かめるため?」

「いえ、僕は、こう考えます。冬月さんと一緒に出頭したかったのではないでしょうか」

「じゃあ、奥さん自殺したの僕のせいってことじゃん」

「誰かのせいとか、そういう話ではないのです。「たられば」はありません。あるのは結果だけです。今回の話は二人が亡くなった、その事実は変わりません。今考えるべきは、今後どうするかです。冬月さんはどうしたいですか?」

「僕は早いとこ家を綺麗にしたいにしたいかな。警察の人達に荒らされてそうだし」

「それは申し訳ございません。今回の事件は被害者加害者共に死亡で捜査は終了です。警察もすぐに引き返させます」

「ホントよろしく」

「では、北海道に来たことですし、早速旅行と行きましょうか」

「へ?」

「温度差でグッピー死んじゃう!」

「連太郎君、憂さん、何処か行きたい所はございますか?」

「この近くだと阿寒湖とか」

「登別温泉もいいですねぇ」

「では、そこで。冬月さん、真葛さん、案内頼みましたよ」

「300km超えるじゃん! 僕、全員乗れるレンタカー借りてくる!」

「途中で夕張とか札幌とかも寄れるよ」


 

 二日後。

「で、アンタ達だけ楽しんできた訳ね」

 お土産を沢山持って帰ってきた憂達は和泉に詰められることになった。

「私も紫子ちゃんと温泉行きたかったのに~」

「ええ、また今度行きましょう」

「次は二人きりでね」



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