2話

オタクに優しいギャルは存在する。

 そんな稀少価値の高い存在に、俺は遭遇した。

「私、蒲生三葉」

「有明憂」

「今日、自己紹介聞いたから知ってるよ~」

「同じクラスだったんだ」

「そ、よろしくね~」

「よろしく」


 gift報告会。

 紫子さんは舞鶴杏奈と同じクラスに転入しているため、情報も多かった。

自殺した舞鶴杏奈は真面目な生徒だった。

成績も良かった。

 これは担任に聞いたそうだ。

 教員側は俺達の潜入捜査を知っている。逆に事情を知らない生徒に、突然、自殺した舞鶴杏奈のことを聞くのも不審がられるだろう。


 舞鶴杏奈はクラスで孤立していた。

 担任として、一応気にかけていたようだが、杏奈は人の群れに入ろうとはしなかった。

「担任は、いじめがあったことを知らなかったそうです。本当かは分かりませんが」


 次の日。

「友達がいたんだ」

「うん」

「杏奈っていう子」

「うん」

「最近、ニュースでやってるでしょ」

「ああ、知ってるよ」

「私がいるのに、何で飛び降りちゃったんだろう」

 

俺は蒲生さんと話したことをgiftに共有した。

蒲生さんと舞鶴杏奈は友人、百合寄りだったかもしれない、と言ったらドクターが少し嬉しそうになった。

「メリバエンドルート、キタコレ」

 俺もそういう素養があるので意味は理解できるが、解説はしないでおいた。


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