2話

中澤美波とは警察署で対面した。

「仕事の帰り道、いつも公園で待ち伏せしているんです。最初は偶然かなと思っていたんですが、ある日、話しかけてきたんです。私をずっと見てたとか何とか、怖くて逃げ出そうとしたんですが、手を掴まれて、もう気持ち悪くて……。ある日、家に手紙が届くようになって、家知られてるってなって、怖くて。警察に行って、接触禁止を言われても守ってなくて」

 一通り事情を聴いた紫子は慰めるように言った。

「お辛かったですね。……でも、もう大丈夫です。私達が来ましたから」

「ありがとうございます」


「中澤さんは津田の逮捕を望んでいますか」

「ええ、勿論」

「逮捕するためには、刑事告訴する必要がありますが、いいですか?」

「はい、お願いします」

「証拠となる手紙がありますし、それと合わせて、付きまとい行為中に現行犯逮捕がいいですね」

「はい。私はどうすればいいですか?」

「いつも通り、お仕事に行ってもらって大丈夫です。津田が接触してきた時に捕まえます」


 仕事が終わる17時頃、中澤の仕事場から帰り道の間を張り込むことになった。

職場付近は烏丸と和泉、商店街には向井と連太郎、近道で通る公園には憂と真葛、自宅付近には紫子と宮沢が張り込む。全員が私服警官のようなものである。


「職場付近、通過」

 烏丸がgiftラインで報告をする。


「商店街、通過」

 向井の報告が来た。


「公園、通過」

 憂が報告をする。


「自宅付近、津田らしき人物を発見。中澤さんとの接触待ちです」

「張り込み初日から現れるとは運がいいな」

「ええ。それだけ毎日、付きまとっているのでしょう」


「何で逃げるんだい?」

「いやっ、離してっ」


「津田が接触、動きます」


 紫子はガッチリと津田の手を掴む。

「はい、逮捕ー、逮捕ですよ~」

「君は、誰だっ」

「警察で~す」

「何だと……!」

「大丈夫か」

 津田と引き離された中澤に、宮沢が声をかける。

「は、はい」


 程なくして向井が到着して、津田をパトカーで連行していく。


「これでストーカー事件は終わりではありません。加害者に罪を認めさせ、もう二度と犯行

及ばないようにする必要があります」

 津田はカウンセリングを受けながら、自分の罪を認めていく。

「被害者の心の傷は一生ものです。犯人が逮捕させた後も続きます」

中澤にもカウンセリングを受けさせ、この事件で受けた傷を少しでも軽くする。



 その後、法律関係のことを烏丸に託し、この事件は一旦解決の運びとなったのであった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る