第6話

その後、他の4人、サークル外の友人、家族などの事情聴取も行われた。

美山ミキは皆から愛されていたようで、誰もが彼女の死を悲しんでいた。友人はショックですすり泣き、両親は泣き崩れていた。


「そういえば何で、ミキちゃんを刺したナイフか。何で連太郎の鞄の中から……」

「そりゃ、こいつが犯人」

「んな訳ないだろ。連太郎だぞ」

「じゃあ、このナイフは?」

 和馬は紫子達を呼びに行く。

「早くこいつを捕まえてくれよ!」

「落ち着いて下さい。森さんの鞄の中から見つかったからと言って、森さんが犯人と決めつけるのは早計ですよ」

「じゃあ誰が」

「森さんを犯人に仕立て上げたい人物でしょう。目星は付いています」

「えっ」

「森さんにはないんですよ、動機が。ねえ、憂さん」

 連太郎の事情聴取は憂が宥めながら行われた。

「彼は本当に美山ミキの死にショックを受けていた。犯人だったら、こんなのにはならない」

「逆に犯人らしい動きをした人物が一人います」

「誰だよ、そいつはっ」

「それは、あなたですよ。高尾和馬さん」

「俺がやったっていう証拠はあるのかよ!」

 紫子は説明する。

 和馬は分かりやすく犯人ムーブをしていたこと、事情聴取の際、嘘っぽさを感じたこと。

「じゃあ、凶器はどう説明するんだよ!」

「あなたが普通に、森さんの鞄に入れたのでしょう。森さんを犯人に仕立て上げるために」

「俺には4限に出てたアリバイがあるだろ!」

「ああ、あのリアクションペーパ―ですか。あなたと同じ経済学を受けている学生に、どんな授業か聞いてきました。緩い授業だそうですよ。途中退室自由。リアクションペーパ―が出席表代わりで、しっかり書かなくても問題はない。……あなたは授業が行われる教室には一応出て、すぐにリアクションペーパーを書いて提出し、サークル室に戻って、美山さんを殺害した」

「それだけじゃ、まだ俺が犯人だと分からないだろ!」

「高尾さん、あなた美山さんとお付き合いしたいと思っていたそうですね」

「誰がそれを」

「他のサークルメンバーから。態度があからさまだったって。今度、告白すると言っていたそうですね。恐らく告白に失敗したのでしょう。それで激昂して刺した、と」

「くっ、クソ」

 和馬はミキにフラれた一言を思い返す。

「私、あなたのこと嫌いなのよね。連太郎のが、まだマシ」


「和馬君……?」

「お前みたいなお人よし、最初から嫌いだよ」


 警察に連行されていく和馬を宮沢と連太郎は悲しげに見ていた。

「こんなことがあって、サークルも終わりか」

「和馬君は、僕のことが嫌いだったんでしょうか?」

「あんま気にすんな、連太郎。お前のことが嫌いな奴の方が珍しいさ」

「森さん、宮沢さん」

「ん? 何だ?」

「こんな時に恐縮ですが、良かったらgiftに入りませんか?」

「俺らみたいな一般人が入ってもいいのかよ」

「むしろ大歓迎ですよ」


 gift №6 宮沢 悟史

   №7 森 連太郎


 紫子は帰り際、宮沢だけに聞こえるように言った。

「宮沢さん、幼女連続殺害事件を覚えていますか?」

「忘れる訳がないだろ」

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