第2話
連太郎は天文部のサークル室に入った。
サークル室には見知った顔ぶれが並んでいた。
四年の美山ミキ、連太郎と同い年の高尾和馬、それに顧問の宮沢悟史だ。
「よう、連太郎。今から飯か?」
「はい、今日はサンドイッチです」
宮沢の隣に腰かけながら言う。
「今日、哲学者さんのお話を聴きに行くんです」
「哲学ねえ。俺そっち方面は詳しくないわ。同じ学者として聴きに行ってみるか」
「可愛いからでしょ」
ミキが連太郎の持つチラシを見ながら言った。
「はい、確かに、可愛らしい方でした。年も僕達と、そんなに変わらないと思います」
「やっぱり」
「ミキ先輩は聴きに行かないんですかぁ?」
「行かないわよ。興味ないもの」
「和馬君は?」
「俺は行ってみてもいいかもな。ヒマだし」
そうして、ミキを除く三人で講演会を聴きに行くことになった。
講演会は講堂で行われる。
「この大学にも哲学を学ぶ方々がいらっしゃると思います。が、哲学をどのように仕事に生かしていくのか不安に思っていることでしょう。しかし、哲学は生きる上での指針になります」
「私は今、警察で働いています。哲学は何処へ行っても持っていけるものなのです」
講演会は哲学というテーマの割に、盛況だった。本にサインを求める者もいた。
「この後は4限があるので行きますね」
「俺も」
「おう。俺も研究室戻るか」
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