ホラーぬいぐるみの復讐

七霧 孝平

ぬいぐるみの復讐

ぬいぐるみたちは自分たちの某扱いに嘆き、怒りを感じていた。


ホラー作品での自分たち。


時には、腹を裂かれアイテムを出す係であり、


時には、自分たち自身が人間を襲う化け物であったり。


そんな扱いを変えるため、ぬいぐるみたちは動き出す。



某ゲーム会社


「さ~て今回のホラーはどうするかな」


「こことここにキーを置くのは確定として……」


「あ、ぬいぐるみ置きましょうよ。よくあるやつですけど。


身体を裂いたら鍵が出てきたりするやつ。定番でしょ?」


「そうだな! ……って」


「どうしました?」


「なんかモニターのぬいぐるみ、こっちに向かてきてないか?」


「何言ってるんですか、目の錯覚……あれ?」


スタッフ達がモニターを眺めると、


確かにぬいぐるみがこちらに向かってきているように見える。


「オマエタチモ……コノイタミヲ……アジワエ……」


「え、う、うわああっ!?」


その日、その会社で気絶した人たちが病院に搬送された。


命に別状はなかったが、しばらくぬいぐるみを見るのを恐れたという。



某映画作成所


「このくまの着ぐるみのキャラ、わかりやすいですけど怖さが出てますね」


「ああ、これが襲ってくる恐怖、たまらないだろ?」


「そうですね。ってあれどうしたの君。


そのくまの着ぐるみ、もう脱いでもいいんだよ?」


「……ワタシタチハ、コンナアツカイ、イヤダァァッ!」


「う、うわああっ!?」


その日、映画作成所でも、気絶した人たちが病院に搬送された。


同じく命に別状はないが、やはりぬいぐるみを見るのを恐れていた。


この事件に共通していたくまのぬいぐるみ(着ぐるみ)


一部の、ニュースやネットは、


ホラー作品のぬいぐるみの復讐ではないかと騒ぎ立てた。


その世間の反応に、ぬいぐるみたちの反応は……。


「セイコウシタ……ノカ?」


確かに世間に知れ渡った点では成功かもしれない。


しかし、自分たちのしたことは結局、ホラーだったと気づいた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ホラーぬいぐるみの復讐 七霧 孝平 @kouhei-game

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ