オムツクラス ひよこ組

――残念ながら、青空さんは悪化するばかりでした。

――ゴミも相当多く出ておりますので、今後青空さんは布おむつを当てることとなります。

――これを当てるのは難しいため、『小鳥ちゃん係』を設置し、今後おむつ替えのお願いはそちらに出していただくこととなりました。


"校長先生、おむつ替えではなく、オマルへ導くのでは?"


――おっとそうでした。これは失礼を



……この野郎、本心では私が成長出来ると思ってないな。




今、私はまた朝礼で校長の横に立たされている。またオムツ姿で。


前回と違うところと言えば、紙おむつではなくおむつカバーを晒しているところであるのが一つ。

そして



――名札には幼稚園と書いてありますが、彼女は高校生です。

――これはあくまで、学生としての物ではなく、トイレ能力としての物を優先しているからです。

――彼女は『附属幼稚園 オムツクラス ひよこ組』と名札に書いておりますが、今後も高校二年生として授業を受けていただきます。


"クスクスクスクス"


誰だ笑ったのは……



校長の言う通り、オムツの名前欄に実在しない「オムツスクラス ひよこ組」所属と書かれている。

これがオムツだけでなく左胸の名札にも書かれているのだ。

しかも幼稚園のビニール製のやつで、全部ひらがな。



幼稚園のクラス名はすべて鳥の名前である。


全学年通して2クラス体制である。

年少は「すずめ組」「めじろ組」

年中は「つばめ組」「ひばり組」

年長は「はと組」「うぐいす組」


オムツクラスもひよこ組も存在しないのである。

当然小鳥のためだけの特別学級である。


――ですが、上下関係に関しては名札を優先していただきます。

――今日からは幼稚園の年少さんより下のオムツクラスです。


……園児たちが目を輝かせている。

下の存在というのが嬉しいのだろうか。




――では、最初に小鳥ちゃんのお世話係となるお姉さん役の子を紹介します。



そして、水色のスモッグを着た子が私の前に出て、TVと同じ展開が始まった


――川上るい。幼稚園の年中、つばめ組です。

―私が小鳥ちゃんのオムツが外れるよう、サポートします。

――みなさんもご協力お願いします。


"おー"

"パチパチパチ"



――はい、ありがとうございます。


――小鳥さん、何かお願いします。


え……何を言えと……準備してなかった……えーと




――るいお姉ちゃん……オムツ替え、よろしくお願いします……

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