オムツ交換台が設置されました

――では交換台の設置まで時間ありますので、先に小鳥さんからクラスのみなさんに一言お願いします。


朝礼が終わって、クラスに戻されたと思ったら改めて前に立たされこれである。


クラスの視線が小鳥の顔……ではなくオムツに集中する。

……先程、園児から先輩まで、学園全体にオモラシ済みであることを公開されてしまった。あの校長め……



――私の目標は、オムツを来月までに外し、早くオモラシを直す事です。

――番組が残り11ヶ月をどうするのかはわかりませんが、ご声援よろしくお願いします。


これが17歳の宣誓かぁ……ものすごく遠くの何処かを自然と見つめてしまう。

遠い目線というのはこういうものなのか……


そしたらなんか作業着の人が入ってきた。


――失礼します。全フロアにおむつ交換台の設置が完了いたしました。

――もうお使いいただけますよ。


――では、交換台の設置も終わったようですので、まずはこのクラスのみんなで交換を見学していただきます。


うんそれ。

気になってたんだけど交換台って何? 私自分で替えられるんだけど。


もう頭に疑問符がいっぱいで飽和状態だ。

処理が追いつかないまま手を引かれ廊下へ連れて行かれる。



なんかあった。



なんだろう、ベッドっぽいんだけど違う。


白いフレームに黄色の布団っぽいのが敷かれてて、そこにベルトっぽいのがある。

で、低い檻が三方についてる。


病院のベッドの足側がない感じ? 監視カメラみたいなのも付いてる。





……で、そのベッドっぽいのの奥に、今まで無かったでかいモニターがある。何も映ってないけど。



――青空さんのオモラシサインが青く染まっていたら、それはオシッコを言えなかったということです。

――気づいた人は速やかに交換台まで連れていき、オムツを替えてあげてください。



待って!? 私クラスメイトにオムツ替えられるの?

このオムツは15回対応だから学校で替えてもらう必要はないよ!!




――だめです。それでは恥ずかしくないでしょう?

――おむつを替えられたくない、という気持ちがオムツの卒業に繋がるのよ。


――だから、あなたは今日からトイレは使用禁止です。学園全体で監視していますよ。



トイレ禁止って、じゃあ私はどうやって……(ゴニョゴニョ……


――TVと同じよ、青空さんにはオマルを使っていただきます。

――あ、ちょうど運ばれてきましたね。



先程の作業着の人が抱えてきたそれは、白鳥のオマルであった。

TVのオンエア中に使えと言われて、出来なかったそれである。



――この交換台とオマルは、青空さんがどこに居ても使えるように、学園のあらゆる場所にあります。

――たとえ幼稚園の子であっても外してもらえるから、オムツはずし頑張ってね。


幼稚園にまで置くの?

私専用として。



――ほら、オマル使いたいんじゃないの?

――言わないと外してあげないわよ。



バレていた……だが、もうダメだ。

我慢は限界に到達し、今まさに出始めた。


登校から朝礼、そして今にいたるまでが長すぎ、これで前のオムツであれば限界点の8回目に到達した。

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