朝礼でオムツのお願い

――というわけで、小鳥さんのトイレトレーニングは学園全体で協力し取り組むことになりました。

――皆さんで協力して、彼女が一日も早くオムツが外れるようサポートしましょう。


ハハハ……この校庭ってこんなに人数詰め込めるんだなぁ……400mトラックと野球場にソフトボールのまで併設されてるし行けるか……

校長何言ってるのか分からなかったよ。


この学園全体、つまり幼稚園の年少から高校3年生までの全校生徒が、この朝礼に参加していた。

下は4歳、上は18歳。

人数は900人ぐらいだ。


もちろん全員集めたのはこれが初である。



そんな大人数の前で、私小鳥は先日のテレビ撮影の時と近い格好で、校長の横に立たされていた。


……つまり制服の上のみと、スカートなしでオムツ丸出しという状態である。

違うのは、オムツの名前欄の学校が幼稚園から高校に書き換わっているくらいである。


流石にこれだけは変えさせた。

恥も外聞もなく全力で泣きつき、渋々であったが高校版を作らせたのだ。


そんなに重要なのか幼稚園というところ。



撮影前まではスカート履いていたのに、取り上げられてしまたt。

体育のときにも同じことをやっているが、改めてこの格好は恥ずかしくて仕方がない。


……だが、先日よりは遥かに少ない。


ネットTVの視聴人数、なんと4万人だそうです。

ネットだからパーセントでなく具体的な数字が出るのだそうです。


当然ですが企画の4人の中で私がブッチギリのトップである。二位の天才子役とくらべても一桁多い。

一桁だぞ一桁。十倍だぞ。 それも百台千台でなく、万の話で。


なおこの4万人に違法アップロード分は含めていない。 消しても消しても増殖してキリがないらしい。


ネットTVの局史上においても一位。

海外向けに字幕版も作るらしいけど、これ見たさにこの倍の外国人登録があったらしい。


これに画像切り抜きのまとめサイトとかまで含めたらどこまで行くのか。



おかげで臨時ボーナスが凄い額出ました。私これだけで数年遊んで暮らせるよ。

事務所もだましだまし使ってた電化製品全部買い換えてたな。


新聞の一面も私のオムツだったなぁ……それと比べたら目の前の1500人ぐらい少ない少ない。





……どこで間違えたんだろう。



――ではここで彼女に決意表明をしていただきましょう。

――さ、小鳥くん、前へ。



現実逃避していたのに呼び戻された。

目の前に配置されている幼稚園の子と目があった。


恥じらいもなくしている体育座りの集団。

……オムツは見当たらない。


小鳥だけがオムツだった。


急にオムツを意識してしまう。

確かに、この国どころか海外にまでオムツを晒そうとしてはいる。


ただカメラ越しで見られるのと、眼の前に居るのとでは違った。




思わず手で隠してしまう。


――おっと、まだ説明の途中ですので手はどけてください。


教員が寄ってきて、手を無理やりどかされてしまった。


――えー、彼女にオムツを丸出しにしていただいているのは、このオムツにオモラシサインがついているからです。

――このようにサインが黄色でなく青になっていたら……おや?



……バレた。

そうである。校長の話を耐えきれなかったのもあるが、それよりも更に前の段階でオモラシはしてしまっていた。

黄色から青に変わる様は膨れ方もすごく、とても目立つのだが、三回目あたりからは変化が分かりづらくなるのだ。


……と、思う。



――え~……このように、オモラシサインが青の状態ではすでに小鳥くんはオモラシしていますので、それを見かけたら最寄りのおむつ交換台へ導いて、おむつ交換をしてあげてください。

――そして電子オモラシ表にアクセスし、そこに○を一つ増やして記録します。

――学校の電光掲示板で表示しますので、みんなで情報を共有出来ます。



待て待て待て待て聞き捨てならない事言わなかったか?

交換してあげてください? オモラシ表? 共有?


――そして、オシッコしたい旨を聞いた者は、最寄りのオマルへ導き、オムツを外して座らせてあげるようお願いします。

――交換台同様、彼女がどこに居ても良いように、あらゆる場所に配置しておきます。


オマルって何? なんでオマル?  トイレじゃないの?

私が現実逃避してる間にこいつ何言ったの?



――おっと、ちょうど届いたようですね。


そう言うと、校庭に数台のトラックが入ってきた。

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