まさかのテレビ

――は~い、それでは本番10分前でーす。


小鳥は予告通り、大きな仕事を貰っていた。


『365日チャレンジ 人はどこまで成長出来るでSHOW』



まさかのテレビである。

とはいえネットTVで地上波ではない。

が……それでもうちの事務所では私が初の快挙なのだそうな。

みんな大喜びだったよチクショウ。



四人が毎週交代で出演し、それぞれの成長具合を放送し一ヶ月後にどれだけ伸びたかを一年通して見る番組だ。

で、その四人のうち一人が小鳥で、つまり月一回の撮影となる。


他の三人は健康診断、長距離走、漢字学習の成長を毎月報告する。

前から年齢は35歳、55歳、7歳である。



そして小鳥の成長チャレンジはというと


――はい、小鳥ちゃんの我慢記録は23分。オマルは使えませんでした。

――さぁ、オムツモデルでヒーローの青空小鳥ちゃんは一年でオムツはずれ出来るのでしょうか?


一年でオムツはずれを目指すという、一人だけどう考えても方向性が違う内容であった。


……7歳の子が漢字学習で17歳の私がトイレトレーニングというのがあまりにも屈辱的なのだが、今更辞められない。

しかも順番がこの子の次の週なのはイジメではないだろうか。


こなみに7歳の子は天才子役と呼ばれていて、私立では一番争いするような学校の付属小学校に通っている。


なんでこんな番組に出ているのだろう……クイズ番組の延長的なそれだろうか。


衣装は学校のセーラー服の上に、例のUltraBIGである。

まぁスポンサーだしねうん……非常に遺憾だが。


にしてもカメラ回ってる前でオマルなんか使えるわけがないだろいい加減にしろ。

衝立越しってそういう問題じゃないんだよ。


オモラシサインの色が変わるところを接写するのは放送して良いのだろうか……全年齢対象なのか本当に。


――いやぁおトイレ行けない17歳って本当なんですね。

――彼女にはぜひ、一年後までにはオムツはずれを達成していただきましょう。


当たり前だこの女性アナウンサーめ。

来月には外して残り11ヶ月をどう穴を埋めるか今のうちに考えとけ。


――ちなみに小鳥ちゃんのトイレトレーニングですが、彼女の学校が全面協力するそうです。

――成長出来なければ罰ゲームもありますので、がんばって外してもらいましょう。



待ってなにそれ聞いてない。

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