疑惑の大人用
撮影に挑むに当たり、全力で小鳥は後悔していた。
まず上は一般的なセーラー服である。自分の学校の物では当然無い。
病気で困ってる同世代に向けたもの……らしいのでまぁわかる……ような気がしないでもないようなそうでもないような。
そして下。
この撮影で肝心の、紙おむつである。
本当に本当にこの紙おむつは小鳥と同世代向けの医療用なのか。
この前側の人参を抱えたデフォルメされた兎は、何度見ても幼児用にしか見えない。
「Big Baby」と大きく書かれているが、それでもこれは本当に幼児用ではないのか。
大きな赤ちゃんです私は、とでも言いたいのか。
それに使い捨ての紙おむつに名前欄なんか不要だろう。オーダーメイドならわかるがこれ違うだろう。
しっかり私の名前書いてあるしひらがなで。
パッケージの写真の子なんか絶対に乳幼児だし。
……よく見たらこの子、上着セーラーだな。今自分が着てる奴。
サイズだけは17歳の自分にぴったりなのだが、サイズ以外が自分の同世代向けに見えないのだ。
実際に当ててみた、こんなにカサカサするのか。
そして、こんなに分厚かったのか。
オムツの標準的な厚さはわからないから、これが普通なのかもしれない。
なのかもだが、これ何回ぐらい漏らすことを想定しているのだろう。
オモラシサインとかいうのも付いてるみたいだ。
これはオモラシして教えられない子向けの物じゃないのかな。
今までCMで見てきたものは、もっと薄かった気がする。
医療用だから一回分ではないのだろうきっとたぶんそうなんだ。
もしこれで一回分だったら、相当機能に劣っている気がする。
払いきれない疑念を抱えながら、小鳥は係員に導かれ撮影室のカラーバック紙に立った。
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