サポ限にかいていたこと50 売れるストーリー・2

▼ストーリーは基本、四種類

 

  商品ストーリーは、商品情報より携わっている人物を書く。

  創業者ストーリーは、展望や理念を伝えて信頼を高める。

  目的ストーリーは、なぜ頑張るかを理解し目標や意欲を高める。

  お客様ストーリーは、使ったらどう変化したか商品物語を書く。

  

 主人公は身近なキャラクターであること。一つずつ用いたり、組み合わせでストーリーを作ることで物語が深まる。

 商品のストーリーと創業者のストーリーを合わせることで、信頼度と商品価値が高まり、差別化を生むことができる。

 お客様ストーリーでは、生産者側のストーリーと消費者側のストーリーを合わせることで、商品価値や販売につながる。


 これらの考えを、世にある作品に落とし込んで考えてみるといい。

 たとえばアンパンマン。

『ジャムおじさんとアンパンマン』という回がある。

 アンパンマンは、商品のアンパンよりも、携わっているアンパンマンやジャムおじさん、バタコさんたちが描かれている。

 ジャムおじさんはなぜ、おいしいパンを作り続けるのか?

 ジャムおじさんが小さいころ、遠くの街まで出かけたが弁当を忘れてしまったことがあった。

 何も食べられないまま帰ることにしたものの、歩いても歩いても、なかなか着かない。お腹はペコペコで力もでない。みんなは晩御飯を食べているけど、誰も気づいてくれないと思うと余計にお腹が空いて、ひもじくなる。

 こぼれた涙をぎゅっとにぎったげんこつで拭いたとき、落ちてきた流れ星を受け止めるとアンパンが現れた。「あの時に食べたあんパンほど、おいしいものを私は知らない。あんこの甘さが口の中に広がって、心にしみた」とアンパンに救われ、思った。「私も食べた人が喜ぶようなパンを作りたいって。そして、お腹が空いて、ひもじい思いをしている人に食べてもらいたいって」

 また、アンパンマンは空腹な人を見つけ、自分の顔をあげる。

「僕はお腹が空いて、困っている人を助けるために生まれてきました。だから、ひもじい人に食べてもらうことが一番うれしいのです」

 空腹で動けなかった人は、食べたことで満たされる。

 食べられたことで顔は欠けるし、飛ぶ時はフラフラ。

 はっきりいってカッコ悪い。

 顔のアンパンをあげ続けたら、しまいには顔がなくなってしまう。

 それでいいのかと問われると、「僕はパンだから食べられるのが幸せなんです」と笑顔で即答するのだ。

 すでに作品には、基本四種類が盛り込まれて作られているのである。


 新しいストーリーは、「初体験」「よくある質問」「持論」から物語を掘り出せばいい。

「初めて」や「初体験」には必ず、あなたの感情が素直に現れていて、なんらかのターニングポイントが潜んでいる。

 比較的聞かれることの多い「よくある質問」には、人の興味が集まっている。つまり、それだけ興味があることを意味している。そもそも興味のあるポイントとは、人それぞれ見方や考え方が違うし、自分とも異なるはず。そこから物語を作ることも可能だ。

「持論」や「発見」の裏側には、なにかしらの体験や経験、きっかけとなるストーリーが潜んでいる。

 三つの方法から掘り出したものを、四種類のストーリーに当てはめてストーリーに仕上げてみる。

 その際、共感を得られる主人公にすること。ディテールを細かく語ることを忘れてはいけない。


  

▼納得と共感があること


 納得とは、説得力のある説明。

 例えば「具体的な経験」「具体的な数値」など。

 共感とは、応援したくなる生きたストーリーや体験。

 例えば「きっかけとなった幼い頃の記憶」「応援したくなる純粋な想い」「仕事にかける情熱」など。

 読み手を納得させるための説明である描写を、共感してもらうためには登場人物の感想を盛り込むことが必要。

 納得させることで共感が得られる。

 だからまず、説明をしてから感想を添える。



▼共感してもらうには


  三秒で人は、必要か必要でないかを判断する。

  三十秒なら、二百から三百字のコミュニケーションがとれる。

  三分あれば、千五百から二千字が読める。


 共感してもらうために気をつける三つのこと。


  タイトルで引き付ける

  最初の段落で興味をもたせる。

  一気に千五百字読んでもらう内容を書く。


 出だし三行が面白くなければ、その後は面白くないと判断される。


 いい文章を書くためには、次の三つを心がける。


  なにを言いたいか明確にし、簡潔な文章にすること。

  リズム感があって読みやすいこと。

  筆者の気持ちが伝わること。


 そのためにはまず、テーマを一つに絞る。

 文章の中でもっともすばらしい核心部分(キーセンテンス)をきわだたせる手法を『核心文展開法』という。キーセンテンスを中心に文章を構成しなければ、なにかを伝えることはできない。


 つぎに読者を意識して情報を伝える。

 作者である自分、対象、読者で文章の構成を考える手法を『三角形文章法』という。

 世の中の人が「バラがきれい」と言っているからといって、自分もきれいだと伝えてはいけない。バラをつかもうとしたらトゲで怪我をしたなら、「バラは痛いし、怖い」と伝えなければならない。

 自分の個性を無にすることなく、自分のセンスで解釈して読者を意識して伝えなくてはいけない。


 上手く書こうとすると失敗するので、どんどん書いて直せばいい。

 文豪の原稿には膨大な赤ペンの直しが入っている。書いてすぐ美文ができあがるわけではない。

 大事なのは、誰に何を伝えるか。

 誰にでも伝わるように書けば、中身が薄まり、面白さがなくなる。



▼冒頭の四パターン


  印象的な会話文、もしくは疑問文からはじめる。

  ハッとするシーンからはじめる。

  最初に結論を書く。

  全体の要約を書く。


 シーンから書き始めるにはコツがいる。

 経験したワンシーンを取り上げる方法が書きやすい。

 最初の一文に触れたとき「おや?」「なんだろう?」と思わせることで興味をもたせ、続きが知りたくてどんどん読み進めたくなるように書く。

 読む人にもっと読みたいと思わせることを心がける。

 さらに、読む人の想像力をふくらませるために、会話や、感じた音や情景、五感を使うと伝わりやすくなる。

 ただし、あれこれ書くと長くなりすぎ、上手く書けない場合もある。

 説明し過ぎず、会話や音で表現して雰囲気をストレートに伝え、後で説明すればいい。

 結論から書くやり方は書きやすい。

 結論を書いて理由を書くだけでも十分伝わる。

 大事なのは、伝える文章ではなく伝わる文章を書くこと。



▼書く際に気をつける三つ


  一文を短く、長文は読点で区切り、段落は丁寧に切ること。

  長文は五十~八十字を目安にすること。

  一段落は二百字程度にする。


 冒頭を書く際には別紙に、まずタイトルと、どうしても描きたいことを一行から三行、箇条書きします。

 次に赤ペンで、個条書きした文から特に大事なことを三つ、印をつけます。そのとき一緒に、優先順位をつけておきます。

 それらを踏まえて、千五百字にまとめます。

 補足したり、いらないところを削ったりして、短くします。

 文章にはリズム感があり、読みやすいことも大事。

 文章の塊が並んでいると読む気がなくなるので、改行を入れることでリズム感が生まれる。

 また、「 」や「……」「――」などを上手く使うことも、リズム感につながる。だからといってたくさん使いすぎるのはよくない。ここぞ、というところで使うのがいい。

 疑問符感嘆符の多様は控える。


 

▼文章の点検


  書きはじめ 読者を引き込む工夫ができているか。

  キラーメッセージ 「これが言いたい」一文が書けているか。

  組み立て 上手くできているか。

  結語 どういう言葉で作品を終わるかは大事

  語順 入れ替えると流れが良くなるところはないか。

  情報の要約 言葉が足りているか、構成がいいかどうか。



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