第8話 勇者と魔王のショートコント Heaven

魔王

ああ。今日はいい天気だ。



勇者

ぬあああああ!! お邪魔しまああああす!!!!



魔王

台無しだわ。



勇者

魔王! 俺は今! 猛烈に怒っている!!!



魔王

ふん。では早く戦ってケリをつけようではないか。



勇者

違う! お前に対してじゃない! いや! お前に対しても怒ってるんだけど! ああまた腹立ってきた!!!



魔王

……何に怒ってるんだ?



勇者

今朝起きたら! なんと母ちゃんが俺の朝飯を作ってくれてなかった!!


魔王

実家暮らしなのか貴様。それで怒っていたのか。



勇者

違う! 俺も子供じゃないからそれくらい何でもない。

でもふと、なんで俺に朝食を作ってくれるのが可愛い女の子じゃなくて、いつまでも母ちゃんなんだろう。って思ったらさあああああああ!!! また怒りが湧(わ)いてきた!!!



魔王

自分へのか?



勇者

違う! 世のカップルに対してだ!!!



魔王

……前もこんな流れになったような。



勇者

あああ! あいつらはモンスター退治(たいじ)もせず! 魔王(まおう)討伐(とうばつ)もせず! ただ食って寝(ね)て猿(さる)のように盛(さか)っているだけなのに!



魔王

貴様は人のことが言えるのか?



勇者

なんでだ! なんで俺に彼女がいないんだ! こんなにイケメンで優しくて格好(かっこう)いいのに!



魔王

すごい。全部当てはまらない。



勇者

なんでだ! 俺が無職(むしょく)で変態(へんたい)だからか!



魔王

分かっているじゃないか。



勇者

こうなったのも全部お前が悪い!!!



魔王

いや何故そうなる。



勇者

お前が俺に味噌汁(みそしる)を作ってくれたら! お前が俺の事を旦那(だんな)様(さま)と呼んでくれたら! 夜一緒に寝てくれたら! 全てが片付(かたづ)くというのに!



魔王

私の方は散(ち)らかる一方だが。



勇者

おい魔王! 結婚(けっこん)してくれ!!



魔王

最初から嫌だと言っているだろう。



勇者

じゃあせめておっぱいを揉(も)ませてくれ!!



魔王

なんでエスカレートしてるんだ!



勇者

じゃあ代わりにおっぱい揉ませてくれ!



魔王

変わっとらんわ!!



勇者

右のほうだけで良いから!!



魔王

何も良くないわ!



勇者

遠慮(えんりょ)するな!



魔王

お前が遠慮しろ!



勇者

いやらしい意味じゃないから!



魔王

100%いやらしい意味だろ!



勇者

じゃあ俺のオッパイを揉め!



魔王

ええ!?



勇者

やっぱり吸(す)え!



魔王

やめろ! 服を脱(ぬ)ぐな!



勇者

遠慮するな!!



魔王

しとらんわ!帰れ!



勇者

じゃあ俺の父の乳を!



魔王

被(かぶ)せるな!



勇者の父

こんにちは勇者の父です。



魔王

どっから湧(わ)いた!?



勇者

さっき召喚(しょうかん)しました。



勇者の父

私の乳をお吸いになってください!



魔王

親子だ! 間違いなくこいつら親子だ!



勇者

俺の乳か父の乳か。選べ。



魔王

どっちもイヤに決まっているだろう!



勇者

じゃあ母の父を!



魔王

どういう事だ!



勇者の母の父

どうも勇者の祖父(そふ)です。



魔王

こいつもどっから湧いた!



勇者

さっき蘇(よみがえ)らせました。



魔王

ゾンビじゃないか!



勇者

この中だと俺が一番まともだろう?



魔王

お前が諸悪の根源なんだバカ!



勇者の祖父

では孫(まご)と魔王さんの結婚式(けっこんしき)の日取りを……。



魔王

もうやだコイツら!



終わり

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る