第2話

〜放課後〜


HRが終わり、みんなまばらに教室を出ていった。

向かう先は家であったり、部室であったり様々だ。僕は家という名の部室へ向かう。

何部かって?そんなの帰宅部に決まってるじゃないか。

僕はこれを部活の活動だと誇りを持って言える。

帰宅れっきとした部活ではないか。

活動内容は安全に家へ帰ること。

自由が効くいい部活ではないか。

部員は冴えない男女。冴えないが重要なだけ運動部や文化部に分類される奴らは冴えないわけがない。かっこよくてキラキラしてる言わば天空人だ。

そんな言い訳をしながら席を立つ

1度伸びをしてカバンを持ち同じ帰宅の奴らを迎えに行く。

集団行動も学べるんだ、最高じゃないか。

放課後の教室は静かだ、いつもうるさい一軍の奴らは部活に行く

静かだから、小さな声で僕を呼んでもそりゃ気づいてしまう。

「小野くん」

とても小さな声だったけど静かだからこそ聞き取れてしまった。

その声の持ち主はまだ教室に残っていた好きな彼女の声だった。

呼ばれた驚きとまだ残っていた驚きの2つが襲いかかる。

「なんでしょう?」

応対の仕方が陰キャオタクくんみたくなってしまった。死にたい。

「今日、暇?」

彼女が言った。

「帰るだけだから暇だけど」

僕はできるだけ平静を装い言った。

「じゃあ、私と一緒に帰らない?」

彼女は、少し気恥しそうに言った。

何を言っているのだろうか。僕は冴えないクラスでもカースト最下位レベルの陰キャくんだぞ?それがクラスのマドンナに帰るお誘いを受けるなんてありえない。

しかも、さっきのこともある。

さっきのこともあるのに誘ってくるなんてそんなの物好きでしか無い。

彼女は物好きなのか?いやいや、そんな訳が無い。クラスで1番人気なんだぞ?マドンナなんだぞ?ある訳ない、あってたまるものか。

「どうして?」

考えてる間に口に出ていた。

聞かれることが分かっていたのだろう、彼女は答えた。

「怖いの」

余計に訳が分からなかった。

彼女は続けて

「今日だけは誰かと帰りたいの。お願い。」

そこまで言われて断れる奴はいない。

そもそも、好きな子の頼みを断れるはずがなかった。

理由は分からなかったが、言われるがまま僕は彼女と一緒に帰ることにした。






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