第2話
とにかく家はもぬけの殻…どうしよう。お金も無いし、とにかく学校を辞めて稼げるところに働きに行くしかないのかな…私は良くてもルダは本当にそれで良いのかな。
訓練大学校は国の管轄だから入るのにもかなりの勉強量が必要。入学してからの訓練だって大変なものばかりだと聞く。私の一存で辞めて良いのかな
***
またもや電車に揺られて寮に戻る。
今はちょうど団体訓練の時間かな…
みんなはグラウンドを周回しているところだ。こっそり帰ろう。
「おい!ルダ!どうしたんだ?実家に帰ったんじゃないのか?」
…エリュ陸曹に見つかってしまった
「実はかくかくしかじかで学校を辞めようと思いまして…」
私はエリュ陸曹に正直に全てを話した。家族はもうどこにいるのかも分からないこと、300万必要なこと、学校を辞める気でいることも。
「でもルダ、本当に学校を辞めて良いのか?あと1年待てば卒業。国際防衛隊に入隊すればお金もある程度稼げるぞ。その300万円も今までの給与の貯金でどうにかならないのか?」
訓練大学校の生徒は公務員なので学費もかからず給料ももらえる。
「私は3年生ですが飛び級なので実質1年しかいませんし、給与は全て仕送りしていたので無いんです。」
エリュ陸曹は困った顔をしていた。
「そう焦るな、ルダ。僕からも上に掛け合ってみる。帰省分の休みはあるのだから今日は寮に戻りなさい。」
「ご迷惑をおかけします。本当にすみませんっ!」
体を直角に曲げて謝る。こんなにも真剣に考えてくださるなんて、ルダの人柄がよくわかる。
「気にするな!」
エリュ陸曹が寮長を務めている理由も納得だ。
***
寮に戻って悩む。単純問題どうにもならない。あと1年、されど1年。せめて訓練大学校を卒業できれば働き口が広がるのだが、現実的には厳しいだろう。
先が思いやられるまま眠りについた。
《アナウンス》
5-G寮 3年 ルダ 至急 寮長室へ向かえ
繰り返す 3年 ルダ 至急 寮長室へ
アラームかと思ったら恐ろしいアナウンスだ。急いで迷彩柄のつなぎに着替えて寮長室へ向かう。これで、愉快な転生も終了か。後は馬車馬のように働くのか。
コンコン
「3年 ルダ、失礼します。」
エリュ陸曹、そして防衛隊隊長秘書のエリーナさん、と知らない男?
「お前、知らない男とはなんだ。これでも3寮では名が通ってるんだぞ。」
え?考えていることを読まれた?
「ふん、"ルダ"と言ったか。俺は3-A寮のルイスだ。」
そう言ってルイスという男は握手でもしようかと言わんばかりに手を差し出してきた。
私は無視してこう続けた。
「エリュ陸曹、エリーナ秘書官。何がご用でしょうか。」
「おいおい、ルダ。ルイスはこれからお前のバディだ。無視してはダメだぞ(笑)」
「バディ…?ですか。ちょっと話が見えないのですが」
「エリーナくん、説明を頼む。」
「かしこまりました。隊長秘書官のエリーナです。今回は隊長の使いで来ました。以後お見知り置きを。」
「ルダさんの事情はエリュ陸曹から伺いました。ですが我が隊としてはルダさんほどの優秀な人材を失うのは誠に遺憾であり避けたい事態である。と言うのが結論です。」
「本当にそう言っていただけて光栄なのですが、そのバディと言うのは?」
エリュ陸曹が続ける。
「そしてルダ、お前には来月より訓練大学校を卒業し新設される秘密特殊捜査隊"アルファ"に入隊してもらう。」
「そうしたら300万円、こちらで援助する。」
「エリュ陸曹より、こちらのルイスさんとバディを組みアルファとして活動していただく。それが条件となります。」
秘密…特殊、捜査隊?に私がなるのか?
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