10クリスマスの憂鬱

クリスマス・イブは、自分の誕生日でもある。

誕生日がクリスマスと重なっていると、ある種の不公平感が自分にはあって、

まだ自分が小さい頃は、クリスマスケーキがバースデーケーキを兼ねるので、なんか損した感じだった。

また、クリスマスプレゼントと誕生日プレゼントが1個にまとめられるので、なんか損した感じだった

ちなみに自分の他の兄弟姉妹は、ケーキもプレゼントも全部別々だった。

これには両親に向かって遺憾の意を表したいところだが、せっかく家族が祝ってくれるほどありがたいことはないから文句は言ってはいけないと思うので、

「ありがとう。ありがとう。喜んでー。」

とにっこりほほえみながら、洗濯したがまだ生乾きの靴下や親父の臭い黒靴下に無理やりお菓子を押し込んだプレゼントを受け取るのが我が家のクリスマスの恒例であった。


あれから大分時間が立って随分くたびれた大人になったが、

今年も会社や友人知人から、

「メリーバースデー」

と言ってプレゼント(という名のお菓子やお酒)をいっぱい頂いて感謝感激雨あられである。

何より今年に限っていれば、

いつも仕事で厳しく当たっている部下たちからのプレゼントが、

『靴下に入ったゴルフボール』ではなかったことに何より安堵している。

まだ部下たちには嫌われたり恨まれてはいないようだと信じたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る