06アルバート君観察日記その4「アルバート君の夢」
「アルバート君は老後は日本でずっと暮らすのかい?」
ある同僚が世間話をしていた際に、彼にこう質問したのだそうだ。
「私は将来は自分の国に帰る。帰ったらイオンのフードコートみたいなことやる。」
ほほう。しっかりした夢を持ってるじゃないかアルバート君。
てっきりゴスペルダンスのインストラクターとしてやっていくのかと思ってたよ。
アルバートくん的には、自分の国の人々に美味しい料理をたくさん食べてもらって喜んでもらいたいのだそうだ。
それが彼なりの自分の故郷の人々への恩返しなのだという。
彼は特にラーメンがお気に入り。
できることであれば、ラーメン屋もやってみたいのだという。
そのために、日本にやって来て頑張ってお金を貯めている最中だという。
ちなみに、彼は料理は結構詳しいし、味に関しては結構うるさい。
社員食堂で出されるラーメンは「すごく不味い」んだそうだ。
確かにこれに関しては自分も同意見である。
社員食堂のご飯はとにかく不味い。どんだけ不味いのかはまた別の機会に。
ただし、どうしても気になることがあって…。
今や職場の中では『サボりの鉄人』としての地位を確立し、
今までの人生で培ってきたであろうサボりのスキルをあらゆる場面で遺憾なく発揮しているアルバート君。
飲食業は思ったよりずっと激務だからサボられないんだぞ。
何年後にあるかはわからないが、
もし彼が故郷でお店を出したらどんなものを出しているのか気になるから、実際に食べに行くのもいいかもと思っている。
蛇足だが、
アルバート君よりずっと前にウチのオフィスで働いている外国人技術者N君に、
「将来の夢は何かあるの?」
と聞いてみたら、
「私は日本の桜が大好きなので、お金を貯めて日本の桜を故郷にたくさん植えて、綺麗に咲いているところを楽しんでもらいたい」
と言ってたのを聞いて、あまりにもピュア感バリMAXの夢に感激のあまり思わず泣くところだった。
そんなしっかり夢を持って生きている彼らと比べて、自分はというと「将来の夢」ときたら…、
夢がなんにも浮かばないな…。
老後はどうしよう。
不安しかないな。
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