04アルバート君観察日記その3「うまい棒」
「オハヨゴザマス」
アルバート君が朝からニヤニヤしながら出社してきた。
両手に特大サイズのスーパーの袋を4つ抱えている。
中身を見ると全部うまい棒だった。
ぱっと見全部で500本くらい。かなりの量である。
「このうまい棒どうしたの?」
「買ってきました」
どうやら大人買いしたらしい。
自宅近くに超大型のショッピングセンターがあるから、そこで買ってきたようだ。
そうかそうか。
アルバート君は初日から連日うちの部署に迷惑かけっぱなしだからな。
気を使って買ってきたのかな。
アルバート君。実は君はイイ奴だったんだな。
2%くらいは見直したよアルバート君。
と思ったのだが、それは間違いだった。
その大量のうまい棒をどうするのかなあと思って見てたら、隣の部署に袋を持っていった。隣の部署は、ほぼ全員が女性の部署で美人でたくさん。彼は隣の部署の女性陣と仲良くなりたくて、ご挨拶代わりに買ってきたようだ。自分の部署には1本たりとも寄こしてこなかった。
「ありがとうアルバート君」
隣の部署から出てきた女性社員はたかが子供のお菓子のくせに、アルバート君に声を次々と掛けていく。
「イエイエ。マタカッテキマス」
美人の女性陣にうまい棒を大盤振る舞いてきたアルバート君はご機嫌で、鼻歌を歌いながら例によって腰振ってゴスペルダンスを踊りだしている。その踊りっぷりがまた、何時にも増してムカつく。
アルバート君。お前はあれか。お菓子で職場の女性と仲良くできますようにとイエス様にお願いして踊ってるんか。
なんか無性にくやしくなった。
あんまりくやしいから、今度は自分がチロルチョコを2000個ほど大人買いして美人の待つ隣の部屋に持っていくことにしよう。
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