ストレイ ボーイ

@yuzu_dora

ストレイ ボーイ

喫茶店

窓からは渋谷の街並みが見える。

古びた時計は5時を指している。

美智と聖羅がナポリタンを食べている。


美智

「毎日居たいなっ♪ とか言うと、毎回はぐらかされたり無視されたりすんのよ。」

聖羅

「……。」

美智

「新居に引っ越したみたいなんだけど、住所教えてくれないの。

いっくら言っても呼ばないし……。」

聖羅

「……。」

美智

「あ、もう三年経ったから新居でもないか。」

聖羅

「あんた達、何年目よ?」

美智

「11年目。」


聖羅、深い溜め息。


聖羅

「それって付き合ってんの?」

美智

「……どうだろう。分からん。」

聖羅

「正直さ、みっちゃん蔑ろにされてるだけだよ。いい加減に別れなよー。」

美智

「……新しい色恋はメンドいよ、今更。」

聖羅

「まぁねー。」


美智、少し考える。


美智

「……真司以外の男に接触するの、気持ち悪いかも。」

聖羅

「あー。みっちゃん、よくぶん殴ってるもんね。」

美智

「人をDV女みたいに言わないでよぉ。」

聖羅

「結構なボコボコ度だよ?」

美智

「……浮気疑惑が浮上した時だけだもん。」


美智、ナポリタンを食べる。


美智

「だってさ、いつもマーチン飛ばして来るんだよ?」

聖羅

「真司の頭ん中、グラサンで埋め尽くされてそう。」

美智

「その先が欲しいのに。」

聖羅

「……情念が凄いな。」

美智

「ほんっとマーシー並みにクズ。」

聖羅

「クスリに恋してないだけマシじゃん。」

美智

「……確かに。」

聖羅

「違う、そうじゃない。」

美智

「誰も愛せない。」


二人、笑う。


聖羅

「夢で遭ってた方が素敵じゃね?」

美智

「……うん。」

聖羅

「私はあーゆータイプ無理だけど。」

美智

「……うん。」


聖羅、苦笑い。

店内から、レディ・エキセントリックが流れる。


(終わり)


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