焦り
次の日
オレは昨日あんなにびしょ濡れだったにもかかわらず、風邪もひかずピンピンとしております。
「おーっす」
「おー」
と友達と挨拶をかわし呑気に靴を下駄箱にしまった。
…
今思えば艶元さんに話しかけられたのってさ…
罠なんじゃね⁉︎
昨日は、うかれていたけどいきなり我にかえり焦り出した。
いきなり強面な先輩とか現れないよな⁉︎
「昨日は、大切な彼女の傘に入れてもらったみたいじゃないですかー?」
なんてさ…
ないよ…ね?
てか、艶元さん風邪とかひいてないよね?
オレのせいで足をとめたからさ…
大丈夫だよね?
慌てて艶元さんを探す。
えと、艶元さん…艶元さん…
い、いたー‼︎
ってかさ…
えっ⁉︎
艶元さんがオレと目があった瞬間いきなりこっちに向かってくるよ?
ロックオン状態…
何…何ー⁉︎
「おはよ、昨日風邪ひかなくてよかったね」
⁉︎
つ、艶元さんがまたオレに話しかけてくれた。
しかも、風邪ひかなくてよかったね⁉︎
なぜにオレの心配なんてしてくださるわけです⁇
一緒にいた友達は、なぜ⁇
いつのまにそうなった⁇
みたいな眼差しでオレを見つめる。
…
えと…
「あー、おかげさまで」
と返事をしてみた。
「よかった。じゃ、またね」
と艶元さんは教室に入って行った。
「今のはまぼろしか?」
艶元さんの後ろ姿をみながら友達が言った。
「あぁ、まぼろしだろう」
オレもそう答えた。
クラスも違うし…
しかし、なんの接点もないオレたちが親しくなるのにそう時間はかからなかった。
放課後
また艶元さんが帰り道にいた。
…
家どこなんだろう。
駆け寄っておうちどこ?って聞いたらきもがられるよな…
てかさ、てかさ…
方向一緒すぎんだろ。
オレあとつけてるわけじゃないよ…?
なんかあんまり気まずくなって寄り道をした。
「あれ?お兄ちゃん何してんの?」
「あー、暇つぶし」
「なるほど。ほんと暇人」
「うるさいよ…てかオレも、もうかえろっかな」
「もー、お兄ちゃんほんとはわたしのこと心配して待ってたんでしょ?お礼にアイス買ってもらうよ」
「は?なんでお礼にオレが買うの?普通逆だよね?」
「うつわが小さいと嫌われますよ?さ、つべこべ言わずいきましょう」
…
いつも妹のペースに巻き込まれる。
でも、かわいいからいっか!
オレもアイス買おっと!
続く。
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