第28話 奇妙な石が見つかった
「それじゃ、〝企画〟の内容について大まかに話すで」
――あれから数日後、俺と
事務所は赤坂の超高層オフィスビルに入っており、全てがピカピカのキラキラ。
中はエリートサラリーマンが行き交っていて、俺と
しかも
もう恐ろしくて、俺たちは借りてきた猫のようにソファの上で硬直していた。
――で、そんな中で〝企画〟の説明を受けたんだけど、内容をまとめると以下の通り。
――――今から3日前、東京都と千葉県の県境、江戸川を跨ぐ首都高速道路の付近にDゲートが出現。
近隣に住んでいたDTuber数名がすぐに突入。
配信をしつつ妖怪を蹴散らしていたのだが――突然配信が切れ、そのまま行方不明になってしまったという。
彼らは現在も未帰還であり、おそらく死亡手続きが行われるだろうとのことだ。
……正直に言ってしまうと、それだけなら珍しくもない話だ。
しかし――どうにもその魔力保持者の配信に、ダンジョン内の〝奇妙な石〟が映り込んだというのだ。
そして〝企画〟の主旨は――俺たちでその石を採ってこい、ということらしい。
「奇妙な石……ですか?」
「そうや。これは一部のダンジョンで見つかる〝
「へえ、そんなモノがあるなんて知らなかったです」
「ハジメくんが着けてる〝魔力抑制珠〟だって〝
あ、そうなんだ。
それも知らなかった。
ってか安くないって……
いつか両親にしっかり恩返ししなきゃ……。
「で、ハジメくんたちにはこの〝
「と、言うと?」
「ダンジョンに潜って、探して、採って、脱出する――。工程の全てをしっかり撮影・生配信して、
「それは、DTuberですし撮影はしますけど……」
「あ、あの~……差し出がましいことを言うようですが、妖怪対峙をメインにした方が視聴数も延びるんじゃ……。動画にしても映えますし……」
俺も同じことを思った。
なんで石探しなんて地味なことするんだろう、と。
意見した彼女を
「……
「ひゃ、ひゃい!?」
「いい着眼点やね! 思ったことをちゃんと上司に言えるの、偉いで! 褒めたる! ニャハハ!」
「ど、どうも……?」
「んで答えやけど、この〝企画〟は一般視聴者
「「……?」」
首を傾げる俺たち。
「〝
「ストーリー……?」
「モノの価値は
「あ! 私、似た話をネットニュースで見たことあります! 有名なバスケ選手のスニーカーが、海外オークションで1億円以上で落札されたって……!」
「よう知っとるね
……ああ、なるほど。
この人は――〝
「気付いたやろ。『いずハジ@チャンネル』――特に
「そ、そんなにですか……?」
「そうやねぇ、オークション出せばざっと7~8000万ドルはいくんやない?」
「えっと……それって日本円だと……一、十、百……」
「だいたい100億円相当やね」
「――ひゃっ!?」
数字の額を聞いた
いよいよ脳内で感情を処理し切れなくなったようだ。
「あ、
「ニャハハ! 肝っ玉はまだまだみたいやね。――さあて」
パチン!という扇子が閉まる音。
畳んだ扇子の先端を、
「一応アンタらは新人やから、コラボって名目で
「はっ、はい!」
「んん~いいお返事。それじゃ必ず――〝落滝谷ダンジョン〟から〝
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます