第12話 民度低くない?


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モパさん: おはいずも~


スライムジュース : おはいずも~


緑のどん兵衛 : 生配信とかしてないで学校行け


四倉駿: 今日も妖怪退治ありがとう


とまとん: 出雲たん今日も可愛い☆


ジョン・トラボウィック: 可愛くない


コンパスⅩ: 色気がない


DTuberガチ恋: なんか太った?


花丸: 中学生はもうババア


100代目ゲバラ: ゲストって誰やろ


パンツマン: ハァハァ今日のパンツ何色?


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 ……なんだろう、生配信ってわりには歓迎感が薄いような……。


 しかもコメントの民度が低い気もするけど、こんなもんなんだろうか?

 普通に犯罪臭がするのもあったりするんだが……。


 あずさもそれをわかってるのか眉をヒクつかせるが、笑顔を絶やさないように頑張っている。


「そ、それじゃあさっそく紹介するねぇ~! この子は慈恩じおんハジメくん! 私と同じで魔力保持者なんだ!」


「え、えっと、よろしくお願いします……」


 スマホカメラにツーショットで映り込む俺とあずさ

 すると、再びコメントが流れる。



==========


DTuberガチ恋: かわいい


緑のどん兵衛: かわいい


とまとん: かわいい


ピーカプ: かわいい


花丸: ショタキタコレ!


ジョイントキィ: ファンサして♡


金子匠: 強そう


モブ野郎: え? めっちゃかわいくない?


モパさん

 ¥5,000

 お布施します。この子をレギュラーにしてください


100代目ゲバラ: 美人くんやんけ!


パンツマン: ハァハァ僕ちゃんのパンツ何色?


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「あ、モパさんスパチャありがとー! ……ってか私が出たタイミングで投げてよ! アンタらチャンネル登録者でしょ!? 私にかわいいって言え、私に!」


 いい加減に堪忍袋の緒が切れたらしく、コメントに向かってぶちギレるあずさ


 ……俺としても背筋が寒くなるコメントがあった気もするが、なにも見なかったことにしよう。


 ――この後、俺たち2人はしばし廃城ダンジョンの中を探索。

 妖怪を一緒に倒したりした。

 あまり目立ちたくなかったので、俺はいつも通り〝魔力の収縮〟を維持しつつだったけど。


 そうして1時間くらいが経過し、


「それじゃ、おついずも~! 明日にはアーカイブにアップするから、そっちもよろしくね~!」


 生配信が終了。

 彼女はスマホと撮影棒を鞄にしまい込んだ。


「ふ~、大盛況だったねハジメくん! 今日はありがとう!」


「な、なんだか疲れたよ……。人に見られるってプレッシャーだね……」


「でも、やっぱりキミって配信者の才能あるよ! 視聴者の印象に残るっていうのかな。絶対DTuberやるべきだと思う!」


「そう……なのかなぁ……?」


 実感はまるで湧かない。

 ただ、とても新鮮ではあった。


 自分のやることに視聴者がコメントをくれて、それに反応したらまたコメントをくれる。

 なんだか画面の向こうの人たちと繋がったような感覚。

 これは、今までに感じたことがない。


 ――楽しい・・・

 純粋にそう思えた。


 楽しいなんて感情を覚えたのは、いつ以来だろう?

 前世ではずっと虚無感を抱えて生きていたから、そんな感覚すっかり忘れていた。


 なんだか……心がぽかぽかするな……。


「でも……確かに、ちょっと楽しかったかも」


「本当!? じゃ、たまに配信に誘ってもいいよね!?」


「うん。あずさお姉ちゃんがいいなら」


「やった! これで登録者アップ間違いなし! あ、ちゃんと収益は折半するから、そこは安心してね」


「ありがとう。ただ僕は修行を優先しなきゃだから、本当にたまにだよ?」


「そこも大丈夫。私も神社のお手伝いとか色々しなきゃいけない身だから、生配信するのは週末だけって決めてるの。だから、来週また会おう?」


 俺と彼女は連絡先を交換し、その日は別れる。


 DTuber……ネット配信者かぁ。

 まさか俺がそんなことをやる日がくるとは。


 当然、爺やにも伝えた方がいいよな?

 優しい爺やなら賛同してくれるだろう。


 今夜にでも、タイミングを見計らって言ってみよう――。



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