第13話 光りの通路

 教室のドアの前に立つと七色の光り輝く線がまるで自分に向かってくるような錯覚を起こす。

 後ろから、ジャックが軽く背中を押す。


「怖いのかよ。」


「綺麗だから見とれてただけよ!」


 輝く七色の光りは、まぶしい光りの筈なのに、目が眩むことなく見ることができる。


「光りをコントロールしているんだな。」

 ジャックとマリーは、一緒にドアを通り抜けた。


「ご名答!」

 ソウザ先生が、最後にドアを通り抜けると、ジャックに声をかけた。


「光りの強弱だけでなく、君たちの為に、七色の光りにもしたんだ。綺麗だったろう!」

 先生は、得意げにウィンクすると、みんなに声をかけた。


「さぁ、みんな頑張った成果を見せてくれ!」

 ソウザ先生の言葉に、みんな意気揚々と教会の中庭に出て行く。


「少し風が強いから、気をつけて作業するんだぞ。屋根は、ジャック、ケニー、ロドニーの3人で頼む。マリーとメグは、風が強いから屋根は止めて外壁を頼む。」

 ソウザ先生は、当初の配置を変更した。


「先生!屋根の修復に3人では、大変だと思います。私も屋根担当にしてください!」

 マリーは、浮遊魔法が大好きだったし、外壁は7人もいることになるので、屋根の修復に志願した。


「分かった。だけど、注意しろよ。」


「はい。先生!」

 返事と共にマリーは、魔法を使って一気に屋根まで上がった。


「ほら!簡単!」

 マリーは、楽勝と思って屋根に着地した。

 しかし、マリーは屋根の端に着地したため、風に押されて体が後ろにのけぞる。

 一歩下がって、体勢を整えようとしたがマリーの足下には、屋根がなかった。


「キャー!」


「ちょっとマリー!危ないだろう!」

 ジャックが下から上がってきたところで、マリーの背中を押し戻して、そのまま前のめりに倒れた。

 マリーはジャックに、のしかかられて屋根に四つん這いになった。

「うー、膝痛い…。」

 マリーは後ろにいるジャックを見ようと振り向くと、目の前にジャックの顔があってびっくりした。

 ジャックも、慌てて体を立て直した。


「何、イチャついてんだよ。」

 ロドニーが屋根に着地しながら、ニヤついている。


「「イチャついてない!」」

 二人して、顔を真っ赤にして否定するも、ロドニーは楽しそうに、

「やっらしい~」と言って持ち場に向かい始めた。


 マリーとジャックは、否定したい相手がさっさと行ってしまって、気まずい感じにさせられた。


「さっさと始めるぞ!」

 ジャックが、照れくさそうに手を差し出した。


「ありがとう!」

 ジャックの手を取り、マリーは俄然やる気を出して満面の笑顔を見せた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る