第12話 ソウザ先生と修復作業
今日は、午後から、教会の修復作業に合わせた魔法の授業を受けて、そのまま教会に行って修復作業に入る。
マリーは、少し緊張して午後の授業の始まりを待っていた。
ドアが開き、ソウザ先生が入って来た。
「今日は、修復作業に入る前にもう一度おさらいだ。」
ソウザ先生は、この学校では珍しく外国籍の先生だ。
南の島国出身で、日焼けした浅黒い肌、キリッとした眉、肩まである少しウェーブした黒い髪がサラサラで、先生や生徒の母親、女子生徒達、女性人に大人気の先生だ。
修復作業をする課外授業に、当初、張り切っていた教頭先生が担当する筈だったが、教頭先生の教え方に、生徒が追い付けず、尚且つ、卒業間近の生徒達の進路相談で忙しく、結局ソウザ先生と交代になった。
マリー達は、内心ホッとした。
ソウザ先生は、解りやすく、丁寧に教えてくれるので、なんとかみんな揃って課外授業である修復作業に取りかかれることができるのだ。
生徒達にとって、この課外授業は今後の進路に大きなプラスとなるのだから。
今回の修復作業は、外壁と屋根。両方とも外での作業になる。
上の方の外壁や屋根については、自分達も同じ高さに上がる必要があり、浮遊魔法を使う。
浮遊魔法は、比較的最初の授業で皆取得しており、生徒達には人気の授業だ。
さすがに生徒達には、まだ浮遊魔法と修復の魔法、同時に2つの魔法は使えないので、屋根に乗るまでを浮遊魔法、そして修復の魔法を使用するという順番だ。
教室ではまずは、おさらいとして外壁の素材を手元に置いて、上手く構築してみる。
「あっ、ひび割れた!」
ロドニーが言うと同時に、メグも同じように呟いた。
「集中しろ。今日、この後本番だぞ。」
ソウザ先生が、優しく声をかける。
「はい。」
ロドニーの真剣な声が聞こえ、メグもすぐに返事をした。
マリーは、早々と構築を終わらせた。回りを確認するとジャックとケニーも早々終わらせていた。
ジャックは、近くの席にいた、ケイトにアドバイスをしていた。
「ジャック、ありがとう。上手く出来たわ。」
ケイトが、ジャックに満面の笑顔を見せていた。
ケイトは、茶色い長い髪の毛を耳にかけた。
マリーとは対照的に、おとなしい感じの女の子だ。
マリーは、クリーム色に近い金髪で、肩までしかないカールした髪の毛を指に巻き付けて、隣に座るジャックを寂しげに見ていた。
「あの二人お似合いだな。」
ケニーが、マリーに耳打ちする。
「そっ、そうね。」
マリーは、びっくりしたが、何事もないかのように自分の構築した素材を確認する振りをした。
ケニーは、呆れてため息をついた。
貴族は、貴族としか結婚ができない。マリーがいくらジャックを好きでも、その内に親が結婚相手を勝手に決める。階級が高ければ尚更家柄を考慮して、子供の気持ちなどお構い無しだ。
ケニーはもう一度ため息をついた。今度は、親の言いなりになっている自分に。
「みんな!もう出発しよう!」
ソウザ先生の呼び掛けで、みんなが席を立ち、教室のドアの前に向かう。
「良いかい、ふざけずドアを通れよ。」
ソウザ先生がドアをあける。
七色の輝きが起こると同時に、みんなが光りに進んでいく。
教室のドアを開けた先の、教会へと。
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