第8話 強硬派

 マリーは、教会での慈善活動へ向かう馬車の中で叔父を質問責めにしようとしていた。


「マリー、君にはまだこの話しは難しいし、義兄さんにも顔向けが出来なくなるから、この話しは止めようと思う。」

 叔父は申し訳なさそうに、マリーを見た。


「でも、叔父様!叔父様がダメなら他の人に聞くわ。そうしたら間違った情報を教えられるかも知れないでしょう。だってジャックは、貧乏人を何にも無い所に追いやる政策だって言っていたわ!」 


 リチャードは、ため息を吐いた。

「確かに、間違っているね。」


「でしょう!」


 リチャードは、観念してマリーに誇張ぜずに話すことにした。

 マリーは、聡い子だ。だが、自分を含めて偏った知識で判断をすることの怖さを知っておかなければならない。


「ニューフロンティアは、魔法省が先導して動いている政策だ。すでに土地については魔法省の者が現地に行き確認と開拓の進めかたを決めているところだ。まずは、貴族達に投資を募っている。まだ、その段階なんだよ。」


「でも、ジャックのところの親方には、具体的な金額や土地の割り振りなんかも話しに来ていて、逆に良い話し過ぎるから、親方が怪しんでいるって、ジャックは言っていたわ。ケイトって子のところにも同じような話しをしているらしいし。」


「それは、魔法省の者か?」

 リチャードが急に大声を出したので、マリーは、びっくりした。


「ごめん、マリー、大声を出して。驚かせてしまったね。」

 リチャードは、深呼吸をした。


「ジャックは、この話しをした人を見ているかな?」


「ええ。こっそり覗いてたらしいわ。」

 マリーは、微笑む。


「どんな人だっって?」


「あー、ごめんなさい。そこまで聞いてないの。ジャックに詳しく聞いておくわ。」


「嫌、僕が直接話したい。ジャックに会えるかな?」


「ええ。学校の後なら少しは話せるはずよ。いつも食堂でご飯を食べて帰ってるから。」


「Ok。明日、学校の食堂に行くから、ジャックにお願いしてくれるかな。それとこの話しは誰にも話さないと誓ってくれるかな?ジャックにも同じように伝えてほしい。」


「分かったわ。」

 マリーは、少し心配そうに頷いた。


 リチャードは、万が一にもマリー達に危険が及ばないように、マリー達に口止めをした。魔法省以外で誰かが動いているとしたら、なにか良からぬ事を考えている者達がいるのかも知れなかった。


 リチャードは、魔法省に急いで向かう必要があると感じていた。


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