第4話 知らないこと

 やっと先生達と離れたジャックを捕まえに行く。


「ジャック!何があったの?」

 マリーは、ジャックの腕をつかむ。


「マリー、またお前か?」


「私、悪いことなんてしてないわ。この冬は、大変だからみんなで協力して教会の修復作業をして…」


「分かってるよ。教会の修復作業が悪いなんて言ってない。先生達に配慮がほしいと言ってただけだ。お前達がどうかは知らないけど、俺達は、仕事やら家の手伝いがある。みんな昨日の疲れで不安になったんだよ!」


「そうなの…。」

 マリーは、少しほっとしたが、もう少し考えれば良かったと思い気落ちした。


「落ち込むこと無いだろう。悪い案じゃないんだから。」


 マリーは、パッと顔をあげ笑顔になった。


「ただし、マリー。もしみんなで何かしたいなら少しだけ、俺達のことを気にかけてくれよ。みんな生活するのに精一杯なんだよ。」

 ジャックは、いつもより優しく話していた。


「うん。分かった。じゃあ、ジャックともっと話したい。」

 マリーは、身を乗り出してジャックに詰め寄る。


「嫌、それは断る。」


「えー、なんで!」


「ケイトとかにしろよ!女同士仲良くな。」

 ジャックは、さっさと教室に入って行く。


 ジャックが、それほど嫌がっていない気がして、マリーは、満面の笑みを浮かべてジャックの後を追った。

 今日も隣の席に座ってみよう。今日は断られない気がした。


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