第3話 スタートは微妙

 マリーは、魔法学校に着くと食堂に行き、ジャックを探した。


「今日、ジャックは?」

 マリーは、ジャックといつも一緒にいるケイトに声をかけた。


「仕事が忙しくなって今日はお休みですって。」


「そう…。」

 マリーは、凄く残念だった。

 ジャックと昨日の話しをしたかった。


 学校側から、教会の修復に関する慈善活動の話しがされ、貴族階級の者達は、皆やる気を出していた。この活動で成績にもプラスになり、就職へも当然有利になるのだからみんなにも良い話しなはずだった。


 マリーは、図書館で建築に関する本を読みながら、必要な魔法を確認していた。

 もちろん先生が、この慈善活動に必要な魔法を教えてくれ、手順なども相談し分担して作業を行う。

 来週の月曜日から私達の慈善活動が始まるために、授業にも必要な魔法が組み込まれた。

 どれも神経を使う魔法で、マリー達はどっと疲れた。



 翌日は、ジャックが学校に来ていたがケイト達貴族階級ではない生徒達と先生達とで深刻な話し合いがなされていた。


「どうしたの?」

 マリーは、友達のメグに声をかけた。


「慈善活動の件で、ジャックが噛みついてるところ。」


「なんで!」

 マリーは、びっくりした。


「知らないわ。でもジャックは昨日休みなんだから、他の人が担ぎ上げてるんでしょ。貴族以外の代表ってとこね。」

 メグは、両手を上げながら、あきれた顔をした。


「自分たちにプラスになることなのに、馬鹿みたいだな。」

 メグと一緒にいたロドニーが、鼻で笑っている。

「みんなで集まってワイワイ騒いでばかり。クラスを分けてほしいよ。」

 貴族階級でも上位の家柄のケニーが言うと、みんなが同意しはじめた。


「ダメよ!みんなで頑張らないと、間に合わないわ!たくさんの人達が死んでしまうのよ!」

 マリーが割って入る。


「あいつらに言えよ!」

 ケニーが教室に入って行く。


 もっともなことを言われて、マリーは何も言い返せなかった。

 ジャックが、先生達に抗議している。


「なんとかしなくちゃ!」

 絶対みんなで成功させなくちゃ!

 マリーは、もう一度気合いを入れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る