第7話 いつか必ず ※ジェラルド視点

 エレオノールに婚約破棄を告げた件について、なぜか私が罰を受けることになった。


 王位継承権を剥奪されて、さらには降爵処分まで下された。私が罰を受けることになるなんて、そんなのおかしいじゃないか。父上の判断は完全に間違っているのだ。処罰するべきは、彼女の方だろう。


 そう思ったけれど、ここで逆らったら面倒だということも分かっていた。私には、対抗するための力がない。今は、大人しくしておくべきだろう。機会を伺うべきだと感じた。


 このままじゃ、終わらない。奪われた私の立場を絶対に取り戻す。そのためには、我慢することが必要。そのチャンスが巡ってくるのを待つ。


 先のことについて考えているうちに、エレオノールが新たな相手と婚約したという話を聞いた。


 エレオノールの新しい相手は、オディロンらしい。スムーズに話が進んだようで、私は怪しいと思った。


 次の相手が決まるのが早すぎるだろう。そんなに簡単に婚約相手が変わるなんて、今まで聞いたことがない。事前に話が決まっていたとしか思えない。


 何か、裏がありそうだ。私が知らない間に、何かが動いていたに違いない。探っておいたほうが良さそうだな。


 しかし、エレオノールは浮気をするような女だから。すぐにオディロンとの関係も拗れるはず。オディロンも訓練ばかりして、女性関係には疎いようだし隙だらけだ。その隙を突いて、エレオノールは浮気を楽しんだりしそうだから。


 女なんて、所詮そんなもの。裏切ってばかりで、信用できない生き物なのだ。


 だけど、私にとっては都合が良い。その時に、色々と動けば良さそうだ。その時になって、本当に処罰するべき者が誰なのか理解してもらえるはず。そして、私も本来あるべき立場を取り戻せるはず。それまで、辛抱するべき時。


 常に、彼らの動向をチェックしておこう。いつか必ず、崩壊するはずだから。私はその時が来るの、じっくりと待ち続ける。私の計画は完璧だった。


 それなのに、私のもとに届いた報告は、エレオノールとオディロンの2人が親しくしている様子ばかり。しかも、お互いに好き合っている雰囲気すらあるという。


「そんなバカな。あり得ない……」


 うまく取り繕っているだけ。そうに決まっている。彼女たちも慎重になっているのだろう。ただ、それだけ。焦る必要はないのだ。大丈夫、大丈夫だ……。


 そうやって自分に言い聞かせても、不安な気持ちは消えなかった。本当に、2人の関係は拗れるのだろうか。2人の関係が崩壊するのは、いつなのか。気になって仕方なかった。


 とにかく、2人の関係が悪化することを願い続ける。証拠を掴むまで、追い続けるだけ。

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