第13話

今年は年越しに夜勤に当たらず、1月1日、数年振りに初詣に来た。


地元では大きい神社で、屋台も少し出る。


今年の初詣はおじいちゃん、おばあちゃん、お母さんと来た。


4人での初詣なんて、何年ぶりがわからない。


お参りを終えて、皆で屋台にある甘酒で温まっていると、肩をポンポンと叩かれた。


「久しぶり。」


ハッチだ。そういえば、もう半年以上も会ってないな。お店にも行ってなかったし。


「あら、蜂旗君、元気?」


「元気です。皆さんもお久しぶりですね。おかわりないようで安心しました」


「今年もよろしくお願いします。じゃ、広治、私たちは先に帰るね。」


久しぶりにハッチに会った。


最近は、修行のため、市場の手伝いや、親の繋がりの会社で研修がてら働いたりと、跡取りとなるための日々とのこと。


家には帰って寝るくらいで、たまに地方で数ヶ月間、泊まり込みで働いているようである。


数年後には蜂幡ミートの社長になるようだ。


代替わりである。


地元に大型スーパーができてきているけど、老舗の蜂幡ミートはこの辺の飲食店からの依頼が多い信頼されているお店であり、今後も安泰だと思う。


「広治、どう、最近?」


「仕事はうまく行ってるよ。忙しいけどね。失敗もあるし、怒られたりするけど、やりがいがあるかな。あっ、焼き鳥あるし、ビール飲みながら話さない?」


「そうだな。久しぶりにいいな。」


二人で屋台の焼き鳥とビールで飲みだした。


「実はさ、おじいちゃん、おばあちゃんが引っ越すんだ。んで、離婚した父親が4月から住むことになった」


「えっ…。そうなんだ。なんか大変だな。」


「俺、記憶にないから良くわからないけども、おじいちゃん、おばあちゃんは父親とされる人のこと、嫌っているんだ。先月、一回、母親と3人でご飯は食べたんだけどさ。一回だけじゃわからないじゃん。」


「そうか。優しいおじいちゃん、おばあちゃんが嫌うくらいだから、心配だな」


「そうなんだ。」


「俺の話は、まだわからない未来で、もしかしたら、楽しいかもしれないけど、ハッチどうなの?」


「俺は大変だけど、自分の家を継ぐために頑張る」


「熱いね」


「俺の事より、場合によっては広治、苦労しまくるんじゃね?」


「まぁ、もしかしたらね。そしたら、連絡するから、相談乗ってくれよ」


「もちろん。愚痴を言わない広治の話、楽しみだわ」

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