第6話

僕が就職先に選んでいたのは大学病院とまでは行かないが、色々な科がある病院だった。


実家から通勤時間は1時間半くらいかかったけど、学校の先生から、最初は病院に行っておくといい、と言われたから、それを参考に決めたんだ。


なんとなく、スポーツが好きだから整形外科も有名な病院を選んだとの、家の近所はそこそこ有名で大きな病院しかないから、そこで働ける自信がなかったんだ。


物覚えが悪くて、ミスばかり、メモしてるくせに何回も聞くし、先輩たちには迷惑をたくさんかけていたと思う。


でもとにかくガムシャラに頑張ろうと思って働いていたし、実家に帰れば優しい家族がいるから、頑張れた。


仕事を必死で頑張っている僕の姿を喜んでいる家族を見て、頑張っている僕がいるというややこしい流れになっているんだけど。


3ヶ月の試用期間が終わって、正採用となり、そうなると夜勤も始まる。


その時期になると、まだ、全額でないものの、ボーナスが出た。


そのお金で、今までの感謝を込めて、母親にはブランドの財布を、おじいちゃん、おばあちゃんには万年筆をプレゼントした。


プレゼントに関しては自分で必死で考えて 探して選んだけど、プレゼントを渡すことに関しては、給料明細を渡してくれた上司が、


「初任給で何も買ってないなら、ボーナスで何か買ってやりなさい」


普段めったに命令口調にならない優しい上司が私に言ってくれて、はっとして買うことにしたんだけど。


おじいちゃん、おばあちゃんはまた号泣していたし、母親は嬉しくてすぐには使えないよ、ってなかなか使ってなかったし、とにかく、喜んでいるのがわかってよかったよ。


プレゼントを渡して数日後、母親から改まって話があると言われたんだ。


「広治、真剣な話があるの。」

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