47話 ビーチフラッグの結果


 2戦目は、玉里対町張。

 体格的にも、四人の中で玉里が一番小柄だから俊敏さがあるように見える……が。


「……スタート」


 佐伯がスタートの合図をすると、二人が並んで走り出す。


 スタートからどんどんスピードが上がる町張とは対照的に、玉里は砂に足を取られて減速していく。

 町張は玉里を置いてきぼりにして、ダイビングせずにあっさりフラッグを掴んだ。


「勝て、ちゃった……」


 町張は、余裕で勝てたことを驚いているようだった。


「はぁ……やっぱりこうなるか」


 玉里は昔から短距離も長距離も苦手だったから仕方ない。


「もー! 古徳くんが応援してくれないから負けちゃったじゃん!」

「文句なら運動不足の自分に言えよ。いつも菓子ばっかり食べてるからそんな遅いんだよ」

「むぅー! 次は負けないからっ」


 その後も、ビーチフラッグ対決は続いた。

 罰ゲームだらけだから、最初はどうなるかと思っていたが……なぜか四人とも、やけにひりついた空気でビーチフラッグをしていた。


 そして——。


「けっかー! はっぴょー!」


 カラスがバーっと飛んでいきそうな言い方で、玉里が砂浜に書いた総当たりの表を指差す。


 2勝が佐伯と町張の二人、1勝も玉里と美代が並んだことで、優勝決定戦と3位決定戦にまで、もつれ込んだ対決は結果的に——。


「3位はあたしと美代ちゃんで、優勝決定戦の結果、2位が町張ちゃん! そして1位!! 佐伯ちゃんっ!」


「おい待て。なんで3位が二人いるんだよ」

「交渉の結果、BBQはあたしと美代ちゃんが古徳くんを独占します」

「良かったね……古徳」


 なにも良くないんだが……。

 ってか、それは置いといて。1位が佐伯ってことは……。

 隣にいる佐伯の方を見ると、佐伯もこちらを見ていた。


「……まぁ、真剣勝負の結果なのだから、こうなってしまってもと思うわ……」


 佐伯は目を細めながらこっちに視線を向ける。


「良かったわね、大狼くん。私が一緒に寝てあげる」


 こうして、佐伯と俺が同じテントで寝ることに……決まってしまった。

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