夏休み編
26話 夏休みが始まった。(妹視点からスタート)
【第3章 夏休みに動き出す恋】
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最近、姉さんの様子がおかしい。
「だ、ダメよ、こんなの……!」
7月中旬から始まった夏休み。
本来なら、外国で仕事をしている父親に会うために、この夏休みに海外へ行く予定だったけど、姉さんが急に行かないと言うので(私も海外行くより部屋に篭ってゲームしたかったから)私たち姉妹は海外旅行の予定を全てキャンセルした。
そこまでしたというのに、夏休みに入ってからというもの、隣の部屋から聞こえてくるのは姉さんの悲痛な叫び。
隣がうるさくてゲームに集中できない。
姉さんは日本に残る理由として、『カレと遊ぶ予定が何個もあるから日本に残る』と言っていた。
それなのに、この始末……。
姉さんの言う『カレ』というのは、おそらくこの前一緒の傘の下にいた私の事をいやらしい目で見て来た男子の事だと思う。
『カレと遊ぶ予定が何個もある』と言っていた姉さんが夏休みが始まって1週間"一度も"遊びに出かけていないのは——つまり、そういう事なのだろうと勝手に推察してしまう。
『カレ』とやらが本当に彼氏だとは思ってなかったけど、こんな事になるとは。
「……そろそろウザいから、注意しに行こ」
真っ暗闇の部屋でゲームをやっていた私は、ゲーミングヘッドを外すとリモコンで電気を付ける。
自室から出て、隣の部屋を無理やり開けると、隣の部屋ではベッドの上にうつ伏せで倒れ込む姉さんの姿があった。
「……姉さん? うるせえから少しは大人しくして」
「み、
私に気づいた姉さんは身体を起こすと、乱れた髪を整えて、ベッドの上で足を組んで座る。
「少し、私の相談に乗りなさい」
「ヤダ」
「……いいわ。ならそこで私の独り言を聞いてなさい」
「ヤダ」
「…………」
「…………」
「男子を、遊びに誘おうと思ったのだけど」
姉さんは勝手に話し出す。
はぁ……仕方ない。妹として少し話を聞いてあげよう。
「それで?」
「……どう誘ったらいいか、分からないの」
「は?」
うわ……姉さんの事だから面倒な事になっていそうな予感はしていたけど……。
「まさか姉さん……その男子を誘うのに1週間も文章考えててあーだこーだ喚いてたの?」
「………」
「………姉さんって恋愛クソ下手だね」
言った瞬間、姉さんの目からハイライトが消えていった。
あーこれ、効果抜群4倍弱点突いたかも。
「じょっ……女子高に行ったあなたには、分からないわよ」
「……あっそ。なら一人で頑張って」
カチンと来た私が、部屋から出て行こうとすると、姉さんが私の手を掴む。
「ご、ごめんなさい美代……つい反論したくなってしまって」
「…………」
「できれば、協力して欲しいのだけど」
「……うん。私こそ、クソ下手とか言ってごめん」
お互い口下手なのに私たち姉妹が仲良くやれてるのは、喧嘩しても姉さんが先に謝って来るからだったりもする。
「姉さんは、その男子の事が好きなの?」
「……す、好き、なの、かも、しれない、けど、違うかも、しれない」
「なにそれ」
姉さんは面倒な性格してるからなぁ。
ここは私が手伝ってあげる必要があるかもしれない。
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【あとがき】
夏休み編入りました。
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