片思い
失恋したら髪を切る、なんて誰が最初に言い出したのだろう。
俺は男の割には髪が長い。
女性がするみたいに、肩のところで一つ結びにしている。
この髪型のせいか、生徒達からは「春ちゃん」と呼ばれている。
慕ってくれるのはいいが、少々ナメられているのではと感じる。
仕方がない。悪いのは髪を切らない俺なのだから。
俺が髪を切らない理由は、表向けは平安時代の女性の美髪を目指しているからということになっているが、実際は違う。
まだ未練があるからだ。
相手は人妻。子どもも二人いる。
叶わない恋だって分かっている。
それなのに思いが断ち切れない。
子どもの頃から憧れ、いつしか恋に変わっていった。
思いの火が消えない。
ずっとずっとの片思い。
もしも、離婚したら、とか相手の不幸を夢に見てしまうこともある。
そんな最低なことを考えてしまう自分に自己嫌悪を覚える。
もしこの思いを伝えてしまったら、彼女は優しいから、きっと困らせてしまうだろう。
だから、これから先も言わない。
墓場まで持っていく気でいる。
いつまでも良い弟分でいようと思う。
いつか、この恋が終わる時が来るのだろうか。
それは新しい恋を見つけたときか、それとも完全に思いが断ち切れた時か。
恋が終わった時には髪を切ろうと思っている
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