同棲時代

 俺と雪兎は同じ大学に進学した。

 雪兎は農業学部、俺は文学部兼教職課程。


 同じ札幌市内にキャンパスがあることからルームシェアをしていた。


 大学四年の頃、俺は卒論と教職の実習で死にそうになっていた。


 今日は思ったよりも早く帰れた。

 自分へのご褒美として、コンビニで買ったスイーツを持って帰宅する。

 鍵を開けて玄関に入った瞬間から、何か変な感じがした。

 ハイヒールがあった。


「誰よ、その女!」

「同棲してる春ちゃん」

「それは誤解を招く言い方だ! 俺は男です!」


 色々とすったもんだの末、女性には帰ってもらえた。


 八つ当たりだった。

 努力しなくても大体何でもできてしまう雪兎に。

 

 雪兎みたいな性格なら、恋愛とかに関しても楽な気持ちでいけるだろう。


 光源氏みたいなやつか。

 少し違うかもしれない。

 源氏ほど恋に生きていない。真剣に好きになった相手はいない。


「いやぁ、あの時は修羅場だったねぇ」

「本当、お前、何やってんだって思ったよ」

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