薄桜記

教師になって

 教師になろうと思ったのは、いつからだろうか?

 恐らく、中学くらいから漠然と考えていて、高校で進学先を決める時に、はっきりとした目標になったように思う。


「文学部か教育学部、迷うな……」


 文学部に所属し、教職課程と学校司書の資格も取ることにした。

 講義や実習はキツかったが、何とか現役で卒業、教員免許も取得できた。



 京都に寄った際、昔の恩師であるフレッド先生を訪ねた。

先生は、京都の山の方の落ち着いた一軒家に住んでいた。英語教室の先生をしながら、カルチャーセンターで日本文化を学んでいるとのことだ。


「春から毬藻高校で教師をやることになりました」

「そうか、おめでとう」


「フレッド先生は、最初、教師をやる時どう思いましたか?」

「心躍っていたぞ」

「それはスゴいですね。俺は緊張してて」

「君なら大丈夫さ」



 担任、図書担当、サッカー部顧問。

 初めての割に、色々やることになった。大変なことは間違いないが、やる気はある。


 有明吉野。

 俺のクラスの出席番号1番、サッカー部で、図書委員。

 恐らく、一番関わりが深くなるだろう。


 優しい子だと思う。

 それに、サッカー部が休部状態になっても、練習を欠かさない努力家だ。


 出会えて、良かった。

 教師になって、本当に良かった。


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