第4話 2人の絆

――

 俺たちが、次の街を目指して歩いていると、突然目の前に大きなドラゴンが現れた。

 カル)な、なんじゃこりゃぁ!

 アラビス)ど、どうしてこんなところに……

 カル)いや、そんなことよりも逃げないとヤバくないか?

 アラビス)ああ、そうだな。

 そう言うと、俺はすぐに走り出した。しかし、後ろから何者かに足を掴まれた。

 アラビス)ぐわっ!一体誰だ!? 振り返るとそこには、なんとあの勇者の姿があった。

 勇者)待ってくれ!君たちは、逃げる必要はない!

 アラビス)は?何を言っているんだ?

 勇者)まあ、見ていろ。

 そう言って、勇者は剣を構えた。すると、不思議なことに彼の身体が光に包まれていった。そして、光が消えると同時に、彼は変身していた。その姿はまるで、ヒーローのような姿だった。

 勇者)いくぞ! そう叫ぶと、彼は大きなドラゴンに向かって走って行った。彼は、素早い動きで攻撃をかわすと、次々と斬撃を放っていった。しかし、ドラゴンはそれをものともせず尻尾で薙ぎ払った。しかし、彼はそれをジャンプして回避し、空中で一回転しながらキックを放った。そして、それが見事に命中した。しかし、やはりダメージはあまりないようだった。

 アラビス)しかたねぇな、勇者とドラゴンをまとめて消し炭にしてくれるわ!!「ヘル・ゲート!!」地獄の炎に飲まれて消えろ!

 そう言って、巨大な黒い門を出した。

 カル)おいおい、ちょっとやりすぎじゃないか?

 アラビス)大丈夫だって、これくらいしないと倒せないだろ?

 カル)まあ、そうだけどさ……。

 俺は、そのまま門の扉を開いた。すると、そこから大量の炎が飛び出してきた。その炎は、ドラゴンとドラゴンと戦っている勇者ごと飲み込んで門を閉じた。

 アラビス)よし、これで終わりだな。この「ヘル・ゲート」に飲まれたあらゆるの物質、液体、物体を閉じ込め、魂ごと燃やす。つまり、この門に入った者は消滅するということだ。

 カル)さっきの勇者は消滅したってこと...うーん、やっぱりエグいな……。

 アラビス)そうか?それより、早く行こうぜ。

 そう言うと、再び歩き始めた。

 それからしばらくして、ようやく次の街に着いたようだ。

 アラビス)ここが、次の目的地の街か。何という名の街だ?

 カル)確か……、えっと何と言ったかな……。

 アラビス)覚えていないのかよ! カル)しょうがないだろ?ここに来るまで結構かかったからな。

 アラビス)確かにな。

 カル)それにしても、この街ってなんか見たことがあるような気がするんだよな

 アラビス)へぇー、そうなんだ。

 カル)ああ、そうなんだよ。

 アラビス)そういえば、お前は記憶喪失なんだもんな。

 カル)ああ、そうだ。だから、何も思い出せなくて困っているんだよねー。

 アラビス)それは大変だな。でも、そのうち何か思い出せるかもしれないだろ?あまり気にしない方がいいんじゃないか?

 カル)それもそうだな。ところで、これからどうする?

 アラビス)うーん、とりあえず情報収集でもするか。

 カル)そうだね。じゃあ、まずは酒場に行くか。

 アラビス)そうだな。

 そう言うと、俺達は酒場に向かった。そして、そこに入ると早速聞き込みを開始した。

 店員)いらっしゃいませ。ご注文は何にいたしますか?

 アラビス)じゃあ、ビールで。

 カル)俺も。

 店員)かしこまりました。少々お待ちください。

 しばらく待っていると、飲み物が届いた。

 アラビス)おっ!来たぞ!

 カル)では、乾杯!

 アラビス)おう! ゴクッ、ゴクッ、プハー!うん、美味しい!

 カル)ああ、うまい!

 アラビス)ところでさ、この店に来た時から気になっていたんだけど、あの子達って誰だろう?

 カル)ああ、あの2人か?あの女の子達は姉妹みたいだよな。俺達が見つめている先には、仲良しな感じの姉妹がいた。1人は、黒髪ロングヘアーの少女でもう1人の子は茶髪ショートヘアの子だった。

 店員)お客様、どうかなさいましたか?

 アラビス)いや、なんでもないです。

 店員)そうですか。もし、よろしかったら私とゲームをしませんか?

 アラビス)げ、ゲーム……?

 店員)はい。私が今から出すクイズに答えてください。正解すれば、あなた方の勝ち。間違えれば、私の勝ちとなります。

 アラビス)なるほど。面白そうですね。やりましょう!

 店員)ありがとうございます。それでは、第1問!この世に存在しない物とはなんでしょう?

 アラビス)え?そんなの分かるわけ……

 カル)はい!

 アラビス)ちょっ!早っ!

 カル)え?そんな驚くことか?

 店員)ほぉー、早い方がいらっしゃいましたね。ちなみに、その方はどちら様でしょうか?

 カル)はい、俺はカルと言います。

 店員)カルさんですか。なかなか、面白い名前ですね。それで、そのカルさんの解答は? カル)はい、俺はこの世に存在する全てのものと答えます。

 店員)ふむふむ、そうきましたか……。他にはいますか?いないようであれば、カルさんの解答が正解になりますが……。

 アラビス)ちょっと待ったぁ!!まだ、いるよ

 カル)は?何が?

 アラビス)は?じゃないよ!お前は、この世に存在しないものがあると思っているのか!? カル)あるだろ?

 アラビス)どこにあるんだよ?

 カル)それは、この世界そのものさ。

 アラビス)は?この世界?

 カル)ああ、この世界に存在しているものは全てこの世界の物質によって作られているものだ。だから、この世界には存在しない。つまり、この世界に存在しないということはこの世の物質ではないということになる。つまり、この世に存在していなければ存在することはない。よって、この世に存在しないということだ。

 アラビス)えっと……。

 カル)まあ、そういうことだ。他に誰かいないか?

 店員)えっと……。カルさんの言っていることは正しいと思いますが……。

 カル)あれ?おかしいな……。

 アラビス)うーん、よく分からないけどカルが凄いということだけは分かった。

 カル)まあ、とにかく俺が言いたいのはこの世に存在しないものはないということだ。

 アラビス)うーん、そうかな?

 カル)そうだよ。

 アラビス)うーん、そうなのかもな。でも、この世に存在しないものはないなんて証明できるのか?

 カル)できないな。だが、可能性としては0パーセントではないだろ?だから、この世に存在しないというものはあると思うぞ。

 アラビス)そうかな?  

 カル)そうだよ。

 アラビス)じゃあさ、例えば、俺達の目の前にいる女の子達はどう説明するんだ?

 カル)え?女の子?

 アラビス)そうだよ。ほら、あそこに座っている2人の女の子だよ。

 カル)ああ、あの子達ね。

 アラビス)そうそう。あの子達は、俺達に見えている時点でこの世に存在していないとは言えないんじゃないか?

 カル)うーん、確かにそうかもしれないな。

 アラビス)だろ?それに、幽霊だってこの世に存在していたことになるじゃないか。

 カル)そうだけど、俺達が生きている限り俺達が見ているこの世は現実であり、夢なんかじゃないぞ。

 アラビス)うわ、正論言ってきたな。でも、この世に存在しないっていうのも一つの考え方だと思うぞ。

 カル)なるほどな。じゃあ、次の問題いこうぜ。

 アラビス)ああ、いいぜ。

 店員)あの、お客様?そろそろ、閉店時間なのですが。

 カル)え?もうそんな時間か。楽しい時間はあっという間に終わるな。

 店員)あの、お金を払っていただけると助かるのですが。

 カル)金?

 店員)はい。お会計をお願いします。

 カル)おい、お前払ってくれよ。

 アラビス)なんで、俺が払うんだよ!ここは俺が奢る場面だろうが!

 カル)しょうがないな。

 店員)では、合計で5500Gです。

 アラビス)はい。

 店員)ちょうどいただきました。ありがとうございました。

 カル)また、来ようね。

 店員)ありがとうございます。

 そして、店を出た。

 アラビス)いやー、楽しかった!

 カル)ああ、そうだな。

 アラビス)そういえば、カルってなんでこのゲームに参加したんだ?

 カル)ああ、それはな…… カルは少し間を開けて言った。

 カル)暇だったから。

 アラビス)え?それだけ?

 カル)うん。それだけ。

 アラビス)そうか。

 カル)逆にお前はどうして参加したんだよ?

 アラビス)俺は…… 俺はなんのためにゲームに参加しているのか。

 それは、思い出したくもない過去があるから。それを払拭するためにゲームをしている。

 アラビス)俺は……

 カル)俺は……?

 アラビス)特に意味ないよ!(照)

 そう言って、誤魔化した。

 カル)そうなんだ。

 アラビス)そうだよ。だからさ!俺は、お前と戦う気は全然ない!俺は誰とも戦わず、1人寂しくクリアするよ!だからさ、俺に構わないでくれ!

 カル)いや、無理だな。

 アラビス)即答!?

 カル)当たり前だろ。だって、俺達はチームなんだし。

 アラビス)そうだけど……。

 カル)ほら、行くぞ。

 アラビス)え?どこに?

 カル)決まってんだろ。次のエリアだよ。

 アラビス)マジか……。

 カル)さっさとしろよ。

 アラビス)分かったよ。

 こうして、俺とカルは次のエリアへと向かた。

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