第2話 魔神協定

 部屋に戻ってきた後、俺は今後のことを考えることにした。といっても、大体決まっているのだがな。まず、勇者は俺の部下になる。そうすれば、この国を守ることもできるからな。

 だが、勇者が素直に従うかわからない。最悪、裏切る可能性もあるからな。まあ、その辺に関しては大丈夫だろう。勇者はかなり弱っていたからな。しばらくは大人しくしているだろう。

 まあ、それは置いといてだ。問題はもう一つの方だな。それは、この国のことだ。この国は勇者が支配していたせいで、かなり治安が悪くなっていたのだ。だから、この国を立て直す必要があるのだ。

 だが、俺はこの国のことをよく知らない。だから、この国に詳しい人に聞くしかないのだ。そこで俺はこの国について詳しい人を探しに行った。

 ――

 この国を詳しく知っている人は誰だろうか?やはり国王様あたりに聞いてみるのが一番良いだろうな。というわけで早速聞きに行くことにした。

 国王)おお、魔王殿。どうかされたのか?

 アラビス)はい。実は、この国に何があるのか知りたいのです。

 国王)なるほど。だが、なぜ急に?

 アラビス)はい。私は、この国をよく知ろうと思ったからです。

 国王)なるほど。そういうことなら案内しよう。ついてきなさい。

 アラビス)はい。

 そう言うと、私達は城から出て街に向かった。

 城を出ると、そこは賑やかな街並みが広がっていた。この街には、たくさんの人が歩いており活気があった。

 アラビス)ここが、街の中ですか?

 国王)そうだ。ここには、いろんな店があって楽しいぞ。

 アラビス)確かに楽しそうな場所だ。それに、ここにいる人達も笑顔だ。

 アラビス)なるほど。では、まずはどこに行きましょうか?

 国王)なら、まずは武器屋に行ってみよう。

 アラビス)わかりました

 こうして、まずは武器を買いに向かうことにした。

 しばらく歩くと、剣の絵が描かれた看板の建物が見えてきた。おそらく、あれが目的の建物だろう。

 アラビス)ここですかね?

 国王)ああ、間違いない。入るぞ。

 アラビス)はい。

 そう言うと中に入った。

 中には、様々な種類の武器が置いてあった。

 アラビス)これは凄いな。

 国王)ああ、どれも質が良いものばかりだ。

 店主)いらっしゃいませ。

 アラビス)おや、貴方が店長ですか?

 店主)ええ、そうですよ。何かご入り用でしょうか?

 アラビス)いえ、少し見て回っていただけです。

 店主)そうでしたか。もし何かありましたら、声をかけてくださいね。

 アラビス)はい。ありがとうございます。

 そう言って、店内を見て回った。

 一通り見終わったので、次は防具を見に行こうと思い外へ出た。

 すると、突然空から光が降り注いだ。

 アラビス)なんだ!?

 国王)なっ!? そして、光の中から一人の男が姿を現した。

 男)ふぅ〜。やっと着いたぜ! どうやら、男はこの世界に来たばかりのようだ。

 国王)な、なんなのだ!? 男はこちらを見ると話しかけてきた。

 男)おっ!あんたがこの世界の王かい?

 国王)いかにも、私がこの国の国王だ!貴様は何者だ!

 国王が叫ぶように言った。

 男)俺は神だ!

 国王)何を言っている!そんな嘘を信じられると思うのか!

 男)どうやら信じていないようだ。まあ、当然の反応だろうな。俺だって信じられないしな。俺と同じ立場だったとしても絶対に信じないだろうな。だが……

 アラビス)どうやら本当のようだな。

 俺にはわかるのだ。こいつが本物だということを。俺の勘は当たるからな。

 国王)魔王殿まで、そのようなことを言うとは……

 魔王)いや、本当だよ。俺には分かるんだ。だから、お前が本物の神様だということが分かったんだよ。

 国王)そ、そうなのか……。だが、何故分かった?

 アラビス)それは、神の気配を感じたからだ。

 国王)なるほど……。しかし、それがどうしてわかったのだ?

 アラビス)それは、俺にも分からない。だが、何故か感じ取れるのだ。それで、さっき確信に変わったのだ。

 国王)そういうことだったのか。

 アラビス)それよりもだ。まずは自己紹介をした方がいいのではないか?

 国王)確かにそうだな。

 男)じゃあ、俺からするわ。俺は神だ。よろしくな!

 国王)私は国王だ。これからよろしく頼む。

 アラビス)俺はアラビス、大魔王だ。これからよろしくな。

 神)おうよ!ところで、一つ質問いいか?

 国王)もちろん構わないぞ。

 アラビス)ああ、何でも聞いてくれ。

 神)この世界に魔王って何人いるの?

 国王)確か、三人だと聞いているぞ。

 アラビス)そういえば、勇者はもう倒したからあと二人だな。

 神)へぇー、そうなの?なら良かった。実はこの国に来る前に勇者を倒したんだけど、まだ他にも勇者がいるかもしれないから気をつけろよって言いたかっただけ。

 国王)なるほど。わざわざ教えてくれてありがとう。

 アラビス)そういえば、お前の名前はなんて言うんだ?

 神)ああ、そう言えば名乗っていなかったな俺の名は、「カル」。ちなみに性別は男。

 アラビス)そうか。改めてよろしくな。

 国王)ああ、よろしく。

 こうして、俺たちは握手を交わした。

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