第2話 黒に染まる運命

 しばらくすると、落ち着いたようで、なんとか自力で歩けるようになったようだ。

 しかし、まだ辛そうだな。

 仕方ない。今日はもう終わりにして休ませることにしよう。

 こうして俺と彼女の修行は続いていく。

 数日後。

 俺たちはとあるダンジョンに来ていた。

 ここは俺が転生する直前にいた場所だ。

 リリスによると、ここには強力なモンスターが数多く生息しているらしい。

 そのため、俺にとってはちょうどいい練習相手になるだろうとのことだった。

 確かに今の俺なら、ここのモンスターたちを相手にしても余裕で勝てるはずだ。

 だが、油断は禁物である。

 何が起こるかわからないしな。

 気を引き締めていくとするか。

 そんなことを考えているうちに、どうやら目的の場所にたどり着いたようだ。

 目の前には巨大な扉がある。

 この先にボスがいるのだろうか? 俺は意を決して中へと入った。

 部屋の中央に向かって歩いていると、突然、大きな地響きとともに地面が大きく揺れ始めた。

 しばらくして地震が終わると、今度は部屋全体が真っ暗になった。

 どうやら停電したみたいだな。

 辺りを見回してみる。

 すると、天井に亀裂が入っていることに気づいた。

 まずいな。このままだと崩れ落ちるかもしれない。

 早く脱出しないと。

 急いで出口に向かおうとしたその時だった。

 背後から強烈な殺気が伝わってくる。

 咄嵯に振り返ると、そこには一体の大きな怪物がいた。

 こいつが親玉か? いや、待てよ。どこか見覚えのあるような…… そうだ!思い出した!確か、以前見た夢の中に出てきた化け物にそっくりだ。

 ということは、もしかするとあれは未来の自分の姿なのか? まあ、いい。どちらにせよ倒すだけだ。覚悟しろ、バケモノめ!! 俺は剣を構えて奴に立ち向かった。

 先手必勝である。

「喰らえ!!」

 渾身の一撃を放つ。

 しかし、その攻撃は簡単に受け止められてしまった。

 どうやらあまりダメージは与えられなかったようだ。

 ならば、次は魔法で攻撃するとしよう。

「フレアバースト!」

 魔法を発動させる。

 炎の爆発が敵を包み込んだ。

 よしやった!」

 手応えありだ。

 流石にこれなら効いてくれるはず。

 そう思ったのだが、

「うそ……」

 なんと敵は全くダメージを受けていなかったのだ。

 どういうことだ!?なぜ倒せない!? 焦りを覚えると同時に激しい頭痛に襲われた。

「ぐっ……」

「先生!?」

「大丈夫だ……」

「ですが……」

「問題ない。それより、お前は自分の身を守ることだけ考えていろ」

「わかりました」

「よし、それじゃあ行くぞ!」

 再び戦闘が始まった。

 俺は必死になって戦った。

 だが、いくら攻撃をくっ」

「師匠!」

「心配はいらない」

「でも、さっきよりも傷が増えていますよ!」

 どうすれば良いんだ…… 考えろ……考えるんだ…… 何か打開策はあるはずだ! すると、ある言葉が脳裏に浮かんできた。"もしピンチに陥った時はこう唱えなさい""それはどんな呪文ですか?""フッ、よく見てみろ""えーっと、ステータスオープン?""違うわ!馬鹿者!もっと下だ!""えーっと、あっ、あった。これは?""ああ、それは私のステータスを可視化したものだよ""なるほど、それでどうしてこれが呪文になるんですか?""いいか、良く聞くのだ。いいか、これは私の能力値を表している。つまり、これを見れば私の強さを客観的に判断することができるというわけだ""へぇ〜そうなんですね。ところで、それがどうかしたんですか?""まだわからんのか。鈍感な男だな君は。つまり、私はこの世界において最強であるということが一目瞭然だという話なのだ。わかったかね?""はぁ……そういうことだったんですね。でも、俺だって強くなったんですよ!だから、俺のことも測ってください!お願いします!""仕方がないな。ではいくぞ!""はい!お願いします!""ステータスオープン!""ほう、なかなかやるではないか。だが、まだまだ甘いな。さて、続きを始めようか。ん、どうしたのだ?顔色が悪いようだが、まさか、もう限界などと言わないだろうな?ハァ……ハァ……まだだ……まだ終わらない……まだ……負けられない……まだ……まだ……まだ……まだ……まだ……まだ……まだ……まだ……まだ……まだ……まだ……まだ……まだ……まだ……まだ……まだ……まだ……まだ……まだ……まだ……まだうおおおぉぉぉ!!!」

 突然、俺は叫び声をあげた。

 そして、そのまま敵に突っ込んでいった。

 俺は何度も剣を振るった。

 しかし、全て避けられてしまう。

 それでも諦めずに攻撃を続ける。

 やがて体力の限界を迎えた俺はその場に倒れ込んだ。

 意識が遠、、、師匠!」

 リリスの声が聞こえる。

「大丈夫ですか?」

「ああ、なんとかな。だが、これ以上の戦闘は不可能だろう」

「そうですね。一度戻りましょう」

 こうして俺たちはダンジョンから脱出した。

 それから数日間、俺たちはダンジョンには行かず、修行に明け暮れていた。だが、それも今日で終わりだ。

 いよいよ、今日は決戦の日である。

 俺の修行の成果を見せる時が来たのだ。

 今こそ、真の勇者として覚醒する時である。

 俺は決意を固めると、彼女の元へと向かった。

 部屋に入ると彼女は既に準備万端といった様子だった。

 俺は早速、彼女に向かって話しかけた。

 すると、彼女はこちらに向かって歩いてきた。

 どうやら俺の話を聞いてくれる気になったようだ。

 俺はまず自己紹介をすることにした。

 名前を教えてくれないかと頼むと、 彼女は素直に応じてくれた。

 なんでも名前はリリスと言うらしい。

 年齢は16歳とのことだ。

 俺は続けて、何故こんなことをしているのかと聞いた。

 すると、彼女は少し考えた後、ゆっくりと口を開いた。

 どうやら、彼女は魔王軍の幹部によって生み出された存在であり、人類の殲滅が目的であるということ、さらに、そのために異世界から人間を呼び出す必要があるということを話してくれた。

 どうやら、この世界の人間は邪悪な存在であるようだ。

 ならば、ここで彼女を倒さなければならない。そうか。ならば、お前を倒させてもらう」

「ふっ、できるものならやってみるがいい」

「ああ、言われなくてもそうするつもりだ」

「そうか。なら、始めよう」

「ああ、望むところだ!」

 こうして戦いの火蓋は切られた

「くらえ!必殺!スーパーノヴァ!!」

「無駄だ!そんな攻撃など通用しない」

「くっ、なんて硬いんだ……」

「次はこっちの攻撃だ。喰らえ!」

「うわっ!」

「まだまだ行くぞ!」

「ぐっ……」

「これでトドメだ!死ねぇ!」

「くそっ……ここまでなのか」

「そうだ!貴様は死ぬんだよ!」

「ちくしょう!」

「さらばだ!我が愛しき宿敵よ!」

「くそぉぉぉ!」

「フッ、愚かな奴め。だが、安心しろ。お前の死は決して無駄にはならない。なぜなら、お前が死んでもすぐに代わりが現れるからだ。クッ、ハッハッハ!!ハーッハッハッハ!!!」

 〜完〜

 ***

 こんにちは('-')ノ 作者の久賀琥珀です。

 初めてSF作品を書いたので文書やキャラクター設定などで苦戦しました。

 これからも私の作品を見てくださると嬉しいです!

 

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日本人が異世界の王になっていた!?  不動のねこ @KUGAKOHAKU0

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