日本人が異世界の王になっていた!?
不動のねこ
第1話 異世界人
昔、アルカナ王国では人身売買が横行していた。しかしある日、奴隷商人が謎の集団によって殺害されたのだ。それからというもの、アルカナ王国は人身売買を禁止している。だが、裏の世界ではまだ続いているらしい。
「まあ、俺には関係ないな」
そう言って、俺は眠りちょっと待てや!」
「うわっ!?︎」
目を覚ますと目の前に美少女がいた。
「お前、今寝ようとしてただろ!私がいるのに!」
「いや、知らないけど……」
「私はお前の監視役だぞ!ちゃんと見張ってないとダメなんだからな!」
「はいはい、わかったよ」
「返事は一回でいいんだよ!」
この子の名前は『ステラ・ルーナ』。見た目通り、14歳である。
彼女は俺と同じ異世界人であり、ある理由で俺と一緒に召喚された。そしてなぜか監視役として「ねえ、まだ着かないのか?」
「もうすぐだよ」
図書館まではかなり距離がある。俺は能力のおかげで疲れないが、普通の人間なら何時間もかかるだろう。
「着いたぞ」
「ここが図書館?何か地味じゃないか?」
「しょうがないだろ、ここは王宮にあるんだし」
「それもそうだな。さあ行こうぜ!」
俺たちは中に入った。するとそこには本棚が大量に並んであった。
「すげえ!これ全部本なのか!?︎」
「ああ、そうだよ」
「凄いなぁ〜、早く読みたいな〜」
「おいおい、読む前にすることがあるだろ?」
「あっ!そうだったな。まずは勉強しないとな!」
そう言うとステラは机に向かっていった。
「よし!頑張るぞー!」
こうしてステラの勉強が始まった。
〜1時間後〜「終わったー!!︎」
「おつかれさん」
ステラは満面の笑みを浮かべた。
「やっと読めたぞ!」
「そりゃよかったな」
「早速借りてくる!」
「ちょっ、そんな急ぐなって!」
ステラは走って行ってしまった俺は仕方なく待つことにした。
(あいつ、あんなに急いでどうしたんだ?)
数分後に戻ってきた。
その手には本が2冊握られていた。
ステラの顔はとても嬉しそうな表情をしていた。
ちなみに一冊目は恋愛小説、二冊目がファンタジー系の小説である。
ステラ曰く、どちらも面白いらしい。
それから俺たちは昼食を食べに行った。
そこでもステラはたくさん食べていた。
俺はその様子を見て少し引いていた。
午後からは魔法について学ぶことになった。
魔法とは体内に存在する魔力を変換して使うものらしい。
魔法の属性は主に火・水・風・土・雷・光・闇の7種類があり、それぞれ適性のある者しか使えない。
また、人によって得意不得意もあるらしく、使える魔法も変わってくるようだ。
他にも回復系や支援系などもあるが、あまり使われないらしい。
ちなみに俺は全属性使えたりする。というわけで今日はこれくらいにしておこうか」
「はい!」
「明日も同じ時間にここに来てくれ」
「わかりました!」
「それじゃあ気をつけて帰れよ」
「ありがとうございました!」
ステラは帰って行った。
俺はその後すぐに王宮に戻った。ふぅ〜疲れた〜」
ベッドの上に倒れ込んだ。
「でも、楽しかったな」
こんな日々がずっと続けばいいと思った。
だが数日後、俺はある事件に巻き込まれることになる。
〜翌日〜 いつものように俺は図書館に向かった。
「おはようございます!」
元気よく挨拶をするステラを見て微笑ましく思った。
この数日でかなり打ち解けてきたと思う。
最初の頃に比べると笑顔を見せることが増えた気がする。
しかし、この時の俺はまだ知らなかった。
これから起こることを…… 俺たちは席に着いた。
早速勉強を始めることにしよう。
まずは歴史から始めるかさて、始めようか」
「おう!」
「じゃあ、まずはアルカナ王国の歴史から説明するぞ」
「よろしくお願いします!」
「アルカナ王国は今から約500年前に建国されたと言われている」
「へぇ〜、意外と新しい国なんだな」ああ、なんでも初代国王は異世界人だったらしい」
「異世界人が王様になったのか!?︎」
「ああ、しかもかなりの実力者だったみたいだ」
「どんな人なんだ?」
「名前は『シオン・クジョウ』」
「日本人か!?︎」
「ああ、俺と同じ世界から来た人物だ」
「そういえば、お前って何歳なの?」
「俺か?俺は17だよ」
「年上だったのか……」
「ん?どうかしたか?」
「いや、別に何でもないよ」
「まあいいか。話を戻すぞ「わかった!」
「シオン王は異世界の知識を使って、様々な改革を行った」
「例えば?」
「農業、商業、工業、医療の発展、教育制度の確立、その他にも数え切れないほどの偉業を成し遂げた」
「すげえ!流石は王様だな」
「ああ、まさに救世主と呼ぶに相応しい存在だ」
「会ってみたいな」
「そのうち機会があれば紹介してやるよ」
「本当か!約束だからな!」
「ああ、任せとけ」
その後も授業を続けた。
そして数時間後、今日の分が終わったところで解散することにした。き俺は部屋に戻っていた。
すると、部屋の扉がノックされる音が聞こえた。
コンッ、コココッ、コンッコンッ! 誰か来たようだ。
誰だろう? とりあえず開けることにした。
ガチャッ! そこには一人の少女がいた。
年齢は10代前半といったところだろうか?
(可愛い子だな)
俺は思わず見惚れてしまった。
金髪碧眼で、身長は140cmほどしかない小柄な体型をしている。
(一体何の用なんだろう?)
不思議に思っていると向こうから話しかけてきた。
透き通るような声でとても綺麗な声をしていた。
彼女は自分の名前を名乗った。
続けて俺は自己紹介することにした。
まずはこちらから名乗ろう。
俺は自分の名前を告げた。
次に彼女の方を見る。
その瞬間、俺は目を見開いた。
(嘘……だろ?)
そこに立っていたのは、先……ステラなのか?」
「久しぶりね、レイジ」
目の前にいる美少女はステラに間違いなかった。
なぜ彼女がここにいるんだ? まさか、また何かに巻き込まれたんじゃないだろうな? 嫌な予感がした。
俺は恐る恐る聞いてみた。
「どうしてここに?」
すると、ステラは真剣な表情で答えてくれた。
実はあなたに会いに来たの」
「俺に?」
ますます訳がわからなくなった。
「詳しく聞かせてくれないか?」
「わかったわ」
話によると、あの日以来、俺のことを忘れられずに毎日のように思い出していたらしい。
そんな時、父さんから手紙が届いたそうだ。内容は、この国にある王立学院に入学してみないかというものだった。
最初は迷ったが、決心して入学することに決め、入学試験を受けた。
その結果、見事に合格することができた。
そして今日、その知らせを聞いた俺は急いで会いに行ったというわけだ。
ちなみに今は夏休み中らしい。
なるほどそういうことだったのか」
「驚かせてごめんなさい」
「いや、謝らなくていいよ」
「それにしても大きくなったな」
「そうかしら?」
「ああ」
「ありがとう」
ステラは嬉しそうな顔をしている。
こうして見ると本当に可愛くなったなこれからどうするの?」
「うーん、まだ決まってないんだよな」
「それならうちに来ない?」
突然の提案だった。
「いいのか?」
「もちろんよ!」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
「決まりね!」
「これからよろしく「うん!」
〜その頃〜 シオン王の元に一通の手紙が届いていた。
差出人は不明で、中には一枚の写真が入っていただけだった。
〜数日後〜 俺たちは馬車に乗って家に向かっていた。
隣にはステラがいる。
あれから俺たちは家族になり一緒に暮らすことになったそして、今に至る。
「着いたぞ」
そこは大きな屋敷の前だった。
「凄いな……」
「さあ、入って」
「ああ」
「ただいま〜」
「おかえり〜」
奥の方から女性の声が聞こえてきた。
「あら、その子は?」
「私の新しい家族のレイジよ」
「よろしくお願いします!」
「よろしく〜私はミオン・クジョウよ」
「よろしくお願いします!」
「よろしくな」
「はい!」
その後、全員揃って食事をすることになった。
「そういえば、お前の両親はどこにいるんだ?」
「私が小さい頃に事故で亡くなってしまったの……」
「そうだったのか……」
「だから今は一人暮らしなの……」
「大変だったな……」
「でも、今はもう大丈夫よ」
「そっか……」
「ところで、学校はいつから始まるの?」
「明日だよ」
「じゃあ、早く寝ないとね」
「ああ、そうだな」
「じゃあ、早速だけど案内してくれる?」
「わかった」
こうして俺の新たな生活が始まった。
翌朝、俺達は準備をして家を出発した。
「行ってきます!」
「いってらっしゃい!」
母さんの見送りを受けて俺とステラは学校へ向かった。
「おはよう!」
教室に入ると既に何人かの生徒が集まっていた(みんな仲良しなんだな)
少し羨ましく思った。
(おっ!アイツは確か同じクラスの……)
そこには一人の少年がいた。
名前は確か……カイヤだっけ? 話しかけてみるか。
俺は近づいていった。
すると向こうも気づいたようだ。彼はこちらを向く。
その瞬間、俺は思わず目を見開いた。
(え?何でコイツがここにいるんだ?)
そこに立っていたのはかつての親友だった。
しかし、向こうはこちらに気づいていない様子だ。
(まあいいか)
とりあえず挨拶しよう。
俺はよう、久しぶり」と声をかけた。
「!?︎……誰だお前?」
「おいおい、忘れたのかよ」
「悪いけど覚えがないな」
どうやら完全に他人扱いされているみたいだ。仕方ないので名乗ることにした。
「俺はレイジだ」
「レイジ……どこかで聞いたような気がするな」
「思い出したか?」
「いや、やっぱり知らないな」
「嘘つけ!俺だよ!レイジ!親友のシオンだ!」
「何を言ってるんだ?俺はカイトだ」
(おかしいな?そんなはずはない!」
「何を根拠にそんなこと言ってるんだ?」
「だって、俺達一緒に異世界に行ったじゃないか!」
「????」
どうなってるんだ? まさか、記憶喪失なのか?
「すまない、ちょっと混乱してるみたいなんだ」
「そうなのか?」
「ああ、だからまた後で話さないか?」
「わかった」
「じゃあ、またあとで」
「おう」
そう言うと俺は自分の席に戻った。
それからしばらくして担任の先生がやってきた。
「今日からこのクラスを担当することになった。よろしく頼む」
「はい!」
元気のいい返事が返ってきた。
「まず初めに自己紹介だ。名前と出身校を教えてくれ」
「はい、私はリリスです。出身地はユグドラシル王国にある魔法学園です」
彼女は黒髪ロングヘアーの少女だ。身長は150cmくらいだろうか。胸が大きいのが特徴的だ。
(へぇ〜結構可愛いな)
次に隣の少女が立ち上がる。
金髪碧眼の少女である。年齢は15歳ほどに見える。
続いて後ろの方に座っていた生徒が立ち上がった。
こちらは銀髪赤目の美少女だった。年齢は12歳ほどだろう。
そして、さらに次の生徒が立ち上がって言った。
茶髪のショートカットに緑色の瞳をした活発そうな女の子だった。
最後にもう一人の女子生徒が立った。
ピンク色の髪をツインテールにしている。
背は低く、見た目は小学生にしか見えない。
こうして順番に自己紹介が行われた。よし、全員終わったな。次は質問タイムにするぞ」
「はい!」
最初に手を挙げたのは先程のリリスという子だった。
「好きな食べ物は何ですか?」
「甘いものなら何でも好きです」
「趣味はありますか?」
「読書ですね」
「特技はなんですか?」
「料理とかが得意ですよ」
「好きな男性のタイプは?」
「優しくて強い人かなぁ〜」
「恋人はいますか?」
「残念ながらいません」
「スリーサイズは?」
「上から78-55-78です」
「ぶっちゃけ、SEX経験はありますか?」
「秘密です♪」
「ズバリ、目標は?」
「世界平和です」
その後もいくつかの質問が続いた。
〜その頃〜
「アイツの名前はレイジっていうのか……」
俺は一人呟いた。
(レイジ……アイツとは仲良くなれそうだ)
〜数時間後〜 授業が全て終わり下校の時間になった。
帰り支度をしている時、突然声をかけられた。
「ねえ!あなた!」
振り返るとそこにはリリスの姿があった。
「何?」
「これから一緒に帰らない?」
「別に構わないけど」「じゃあ、行きましょう」
こうして俺たちは並んで歩き始めた。
しばらくすると彼女が口を開いた。
「さっきはごめんなさい。急に声をかけたりして」
「いや、大丈夫だよ」
(それより、コイツってこんな性格だったっけ?)
俺の記憶の中の彼女からは想像もつかないような言葉が出てきた。
だが、今更気にしても仕方ないのでとりあえず話を続けてみることにした。
すると今度は彼女の方から話しかけてきた。
ちなみに今はお互い向き合っている状態だ。
どうやら何か言いたいことがあるらしい。
一体何を言うつもりなんだ?あのね……実は私……あなたのことが好きになってしまったみたいなの!」
(は?どういうことだ?)
俺は訳がわからず戸惑っていた。
(まさか、これが俗に言う告白というものなのか?)
しかし、まだ出会って数分しか経っていないのにいきなりすぎるだろ! それに、仮にそうだ悪いけど、君の気持ちには応えられない」
俺はきっぱりと断った。
「どうして?」
「俺は君のことをよく知らないし、そもそも付き合うなんて無理だ」
「でも、私たちはもう会ってしまったわ」
「それが何だ?」
「だから、もう一度最初からやり直せばいいじゃない!」
どうやら諦めるつもりはないようだ。
こうなった以上仕方ない。
俺も覚悟を決めることにした。
「わかったよ。じゃあ、友達になろう」
俺の言葉を聞いて彼女は笑顔になる。
「ありがとう!」
(まあ、これくらいなら問題ないだろう)ところで、どこに向かっているんだ?」
俺はふと疑問に思ったことを尋ねてみた。
「それは着いてからの楽しみということで」
そう言って彼女は悪戯っぽく笑った。
それから程なくして目的地に到着した。
そこは小さな公園だった。どうやらここに連れてくることが目的だったみたいだ。中に入るとすぐにベンチを見つけたのでそこに座ることにした。
それからしばらくして彼女が話し始めた。
どうやら自己紹介をしたいみたいだ。
まずは自分からということなのでこちらから聞いてみることにする。
まずは名前からだな。
リリスという名前を聞いた時点で予想はしていたがやはり日本人ではなかった。
では、出身校はどこかというとユグドラシル王国にある魔法学園だという。
魔法学園ということはつまり魔法が使えるというわけだ。
それならば、是非とも見せてもらいたいところだな。
次は趣味についてだ。
読書が好きだと言っていたが具体的にどんな本を読むのか聞いてみると意外にもライトノベルばかりだった。
(あれ?この子ってもしかしてオタクなのか?)
だとしたら話が合いそうだと思った。次に特技を教えてもらったのだがこれは凄かった。料理が得意だということだったので今度作ってほしいと言っておいた。
最後に好きな男性のタイプを教えてくれた。優しい優しくて強い人です!」
彼女ははっきりとした口調で言う。
なるほど、確かにそういう人が好みというのも納得できる。
最後にスリーサイズは教えてくれなかった。
おそらく恥ずかしいのだろう。
というか、普通に考えればわかることだったな。
最後に俺は自分のことについて話す。
といってもは言えなかったのだけど。
年齢は16歳で好きな食べ物はカレーライス。趣味は特になし。
ちなみに嫌いな食べ物は納豆である。
そんな感じの自己紹介だった。
そして、次はリリスの方の番である。
まずは自己紹介から始まった。名前はリリスというらしい。
出身校はユグドラシル王国の魔法学園だと言う。
趣味は読書だそうだ。
特技は料理らしい。
好きな男性のタイプは優しくて強い人です! とのことだった。
続いて質問タイムが始まった。好きな女性のタイプは? 恋人はいますか? スリーサイズは? など、色々な質問が飛び交う。ちなみにスリーサイズについては秘密です♪と言われた。
ちなみに俺のスリーサイズは上から85-55-85である。
最後に俺たちの関係について聞かれたので正直に答えた。
俺たちは友達になったのだこれからよろしくお願いしますね」
「ああ、こちらこそ」
こうして俺たちの日常が始まる。
〜数日後〜
「今日も授業が終わったな。さて、帰るとするかな」
俺は帰り支度を始めた。
すると、リリスに声をかけられた。
「ねえ、一緒に帰らない〜翌日〜 いつものように登校している途中、突然後ろから声をかけられた。
振り返るとそこにはリリスの姿があった。
どうやら俺のことを待っていてくれたようだ。
そのまま二人で並んで歩き始める。
今日は何をするかという話になったが、お互いにやりたいことが思いつかなかったためとりあえず街に出ることになった。
街の中を見て回りながら歩いていると、ふとあるものが目に入った。
それは占い屋だった。
〜その頃〜 レイジは一人呟いた。
アイツの名前はレイジっていうのか…… 〜数時間後〜 授業が全て終わり下校の時間になった。
帰り支度をしている時、突然声をかけられた。
どうやら俺のことを待っていたらしい。
どうやら俺と一緒に帰りたいらしい。
断る理由もないのでOKする。
ちなみに今はお互い向き合っている状態だ。
どうやら俺に何か用があるらしい。あなたって、結構強そうなオーラが出てるわね」
「そうかな?」
(自分じゃよくわからないけど)
「ええ、だからあなたには私の師匠になって欲しいの!」
(はい?)
俺は思わず耳を疑った。
(今、何と言った?)
「今なんて言った「だから、あなたのことを私の弟子にしてあげようと思って!」
「何でまた急に?」
当然俺は尋ねた。すると彼女はこう答える。
「私、実は魔法使いを目指しているんだけどなかなか上手くいかなくて、それで誰かに弟子入りしようと思っていたところにちょうどいいタイミングであなたが現れたというわけよ」
「なるほど」
(まあ、別にいいけどな)
「でも、俺なんかが本当にいいのか?」
「もちろんよ!」
「わかった。じゃあ、弟子入りを認めるよ」
「ありがとうございます! ところで、一つ気になっていたことがあるんですけれど」
「何だ?」
「その格好は何ですか?」
(ん?どういうことだ?)
俺は改めて自分の姿を確認する。
どうやら制服のままだ。
「あっ」
どうやらすっかり忘れていたみたいだ。悪い。着替えてくるから少し待っていてくれ」
そう言って急いで家に帰る。
家に帰ってからはすぐに部屋着に着替える。
それからすぐにリリスの元へ戻る。
彼女は既に準備万端といった様子だ。
「待たせて悪かったな。さっそく始めようか「はい、よろしくお願いします!先生!!」
こうして、リリスの修行が始まった。
まず最初に行うのは魔力コントロールだ。
彼女の中に眠る膨大な量の魔力を自在に引き出すことが出来るようにならなければならない。
そのためにはまず、魔力を知覚するところから始まる。
まずは、目を閉じてゆっくりと深呼吸をしてみてくれ。そして心を落ち着けて集中力を高めるんだ」
指示通りに集中する彼女。
しばらくして変化が訪れた。
なんと、体の内側から光が溢れ出してきたのだ。
「これが魔力だよ。今はまだ眠っている状態にあるが、意識的に目覚めさせることが出来れば魔法が使えるようになるはずだ」
彼女はとても嬉しそうだ。
だが、喜ぶのはまだ早い。
次はいよいよ魔法について教えることになるのだが、ここで一つの問題が生じる。
俺は今まで魔法を使ったことがないのである。
つまり、俺は魔法の使い方を知らないということになる。
しかし、そんなことはリリスもわかっているようで、心配はいらないと言っていた。
なんでも、この世界に存在する全ての生物は体内に魔素と呼ばれるエネルギーを持っているらしい。
そして、この魔素は普段は目に見えないものだが、空気中に含まれる魔素の濃度が一定以上になると可視化できるようになるらしい。
要するに、魔素を感じ取ることができさえすれば魔法を使うために必要な手順は全て頭の中に入ってくるというわけだ。
早速やってみることにした。まずは両手を広げて精神統一をする。すると、少しずつではあるが体内にある何かが動き始めたような気がした。
よし、これならばあともう少しでコツが掴めそうだ。うーん、なかなか難しいですね」
「最初は誰でもそうだ。ゆっくりでいいから確実に進めていくぞ」
「わかりました」
その後も何度も繰り返し挑戦していくうちに、だんだんと感覚がつかめるようになってきた。
「よし、だいぶ良くなってきたんじゃないか?」
俺の言葉を聞いてリリス本当ですか!?」
「ああ、おそらくもう大丈夫だろう」
「やったぁ!!これで私もついに魔法使いデビューね!」
こうしてリリスは無事に初歩的な魔法を習得することができた。
次はいよいよ本格的な特訓に入る。
リリスは俺に向かって手を伸ばしてきた。
「それでは行きますよ。しっかりついてきて下さいね」
そう言うと同時に彼女が放った光弾が一直線に飛んでくる。
俺はそれをなんとかギリギリのところで避けることに成功した。
「どうやら今のを避けられるということは最低限の力はあるみたいですわね」
「いきなり何をするんだよ?」では行きますよ。しっかりついてきて下さいね」
そう言うと同時に彼女が放った光弾が一直線に飛んでくる。
俺はそれをなんとかギリギリのところで避けることに成功した。
「どうやら今のを避けられるということは最低限の力はあるみたいですわね」
「いきなり何をするんだよ?」あら?ごめんなさい、言い忘れていましたわ。私はあなたを試していたのですわ」
「俺を?」
「ええ、あなたにはこれから毎日私の攻撃を避けてもらいます。もしも一度も攻撃を受けずにクリアできた場合にはあなたを私の師匠として認めましょう」
「わかった」
(まただしもし一度でも攻撃を受けたらその時点でゲームオーバー。二度と私の前に姿を見せないでください」
「わかった」
(負けられない戦いが始まる)
〜数日後〜 今日も俺はリリスの攻撃を避ける訓練をしていた。
「ほら、もっとよく見てください!」
「くそっ!」
俺は必死まだまだ甘いですよ!」
「クソッ!」
俺は焦っていた。
「そこっ!」
「ぐわっ!」
とうとう攻撃をくらってしまった。
「はい、残念でしたね。約束通り、あなたとはお別れです」
「待ってくれ!もう一度チャンスをくれないか?」俺は土下座して頼み込んだ。
プライドなんて知ったことか!今はただ、彼女に勝ちたい一心だった。
しかし…… 結果は惨敗。結局、俺は最後まで一撃を入れることができなかった。
翌日からも俺は諦めることなく、何度も挑み続けた。
だが、それでも結果は同じ。俺は彼女の前に膝をつくしかなかった。
それから一週間後。
俺は最後の賭けに出た。
これまではずっと逃げ続けていたが、今度は自分から攻撃を仕掛けたのだ。
もちろん簡単に避けられてしまった。
俺はそのまま地面に倒れ込む。
もはや立ち上がる気力すら残っていなかった。
しかし、彼女はなぜかとどめを刺そうとしない。
(どうしてだ?)
不思議に思っていると、彼女は突然こんなことを言ってきた。
実は、先ほどの戦いで私は確信しました。やはり、あなたの実力を認めようと思います」
こうしてリリスとの修行は終わりを迎えたのであった。
リリスの修行始まってから数ヶ月が経過したある日のこと。
俺たちはいつものように修行を行っていた。
今日のメニューは魔法を使った戦闘だ。
といっても、まだリリスは初心者なので主に防御面の強化を行っている。
そして、ちょうど今、彼女の渾身の一撃を俺が受け止めたところだ。
どうやら少しは強くなったようだな。
俺も少しだけ本気で相手することにした。
まずは彼女の足元を崩す。
バランスを崩したところを狙って一気に畳み掛ける。
彼女は咄嵯の判断でガードを試みたが、俺の拳が当たる方が早かった。
「勝負あり。はい、そこまで」
リリスの肩に手を置く。
「先生、ありがとうございました」
「ああ、お疲れ様。だいぶ腕を上げたじゃないか」
「いえ、先生の教えのおかげです」
「いや、リリスの実力だよ」
「そんなことはありません。全ては先生の指導力によるものです」
「いやいや、リリスの努力の成果だよ」
「いいえ、先生の力です!」
「いや、違う。やっぱり全部リリスのおかげだ」
「違います。ぜーんぶっ、先生のせいです!」おい、それはさすがに無理があるだろ」
「だって、本当のことですもん♪」
「あのなぁ……」
「ふふっ、冗談ですよ。本当は私の努力の成果です」
「そうだ、その通り。よくわかってるじゃねえか」
「はい、ですからこれからもよろしくお願いしますね。師匠!」
「おう、任せとけ」
「それでは早速ですが、次のステップに進みましょう」
「次?一体何をするんだ?」
「次は攻撃魔法の習得を目指します」
「攻撃魔法?」
「はい、そうです」
「ちなみにどんなことができるようになるのか教えてくれないか?」
「そうですね、わかりやすく言えば、炎を出したり雷を落としたりといったところでしょうか」
「なるほど」
「まあ、いきなり実戦は厳しいと思うので最初は基礎的なことから始めていきますね」
「ああ、頼む」
「それでは、手を出してください」
言われた通りに手を差し出す。
すると、その上に小さな石、これは?」
「魔晶石です」
「魔晶石?」
「ええ、魔力を蓄えておくことのできる特殊な鉱石です」
「へぇー」
「これに私が魔力を流し込みます」
「わかった」
「いきますよ」
そう言うと同時に、彼女のうっ……」
「どうした?」
「ちょっと痛いだけです」
「大丈夫か?無理しなくても良いぞ」
「いえ、大丈夫です。続けさせてください」
「わかった」
「行きます!」
「ぐっ」
「もう少し耐えてください!」俺は歯を食い縛りながら必死に耐え続ける。
やがて…… ピキッ! 何かが割れるような音が聞こえてきた。
それと同時に、全身を駆け巡っていた痛みが嘘のように消え去った。
俺は恐る恐る目を開けてみる。
そこには先程までとは比べものにならないくらい大きくなった魔晶石があった。
これがレベルアップか!? 俺は自分のステータスを確認してみた。
名前:神威愛梨
職業:魔法使い(全属性)
レベル:25/100
HP:15800/15800
MP:300000/300000
EXP:0 2500
攻撃力:5080
防御力:4520
素早さ:4670
魔力:5200
成長度:100
耐性:火・水・風・土・光・闇・毒・麻痺・呪い
特殊スキル:言語理解
特技:全武器術魔法適性:全属性
称号:魔王の娘
装備 頭:賢者の帽子
体1:賢者のローブ
体2:賢神の衣
足:賢神の靴
持ち物:叡智の書
アイテムボックス 所持金:10万G レベルが25 になっている! それに新しい称号が…… でも今はとりあえず…… 俺はリリスの方を見た。
彼女は今にも倒れそうな顔をしている。
おそらく、かなりの負担がかかったのだろう。
俺は慌ててリリスのもとに駆け寄った。
そして、彼女の身体を支えるようにして抱きかかえる。
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