第17話 僕達の優しさを受け入れてくれ
───後日
「どうもー!ラブアンドピースでーす!」
パチパチパチパチパチーー
「はい今日もね、集まって頂いて本当にありがとうございます」
張本が挨拶をする。
大丈夫、しっかり優しい。
誰も傷つかない。
「張本さ、聞いてよ最近ね。僕猫飼い始めたんだよね」
────でも
『露骨にディスる言葉を出していなくても、気にするやつは気にするんだろうな』
平谷のネタ冒頭を切り出す声を聞いて、張本は平谷が楽屋で言っていた言葉を思い出していた。
「可愛いですねー!猫風に言うと可愛いですにゃー!」
前よりボケの質は下がってしまったが、皆の心を守る為には仕方のないことだ。
張本はそう自分に言い聞かせた。
・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・
───終了後楽屋にて
「またクレームだ。動物愛護団体から、猫を『飼う』という表現を止めろとの事だ」
「ああうう」
張本は頭をワシャワシャと掻き、再度ノートにペンを走らせる。
台本ノートはこの間よりボロボロになっていた。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
───後日
「どうもー!ラブアンドピースでーす!」
パチパチパチー
もう猫関連はやめにした。
「いや父の日ってあるじゃないですか」
平谷が台本通り切り出す。
「ありますねえ────────」
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
────終了後楽屋にて
「『父が死んだ直後なのに酷い』だそうだ」
「えー!!!そんな!!」
張本はもうどうしていいか分からなかった。
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