第15話 価値観は変わるのかも

「そういえば」

 張本はお笑いの規制が厳しくなったという話で連鎖的に思い出したエピソードがあった。


 ・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


「パワハラ?張本くんが?」

 バニラフラペチーノを飲みきり、ズゾズゾと平谷のストローが音をたてる。

 もうバニラフラペチーノを飲みきったようだ。


「そうなんです。そんなキツイ言い方した覚えないんですけどね」

 バニラフラペチーノは張本の口に合わなかったらしく、あまり量が減っていない。


「結局いくら配慮したところでソイツの感じ方次第ってことなんだろうな」

 平谷は紙ストローをガシガシ噛みながら言った。


「今の時代の人間は、そんな湾曲した感性持ってないハズなんですけどね!」

 張本は少し口調を荒らげる。 よほどショックを受けたのだろう。


「時代とかではなくて、人それぞれの感じ方だってことなんだよ」

張本は少し間を置いてから、絞り出すように声を出した。


「……パワハラしてるかどうかは僕じゃなくて相手が決めるって事ですか」

「そういうことになるね」

「僕がいくら傷つけないように配慮しても……」

「そう。思い込みだとしても相手にとっては加害者になっちゃうな」


 ────お笑いでは絶対に傷つける訳にはいかない


 張本は平谷の発言を聞いてそう自分の心に誓った。

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